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2006年4月12日 (水)

雑感・雑文 「野間氏の“恩”」、他

「野間氏の“恩”」

Moma1 先日(06.4.10)、宮本常一著『日本人を考える』<後編>で、「宮本×・安岡・野間」編に、野間氏の発言を一言も載せなかった。

実は野間氏には“恩”?!があるので、少しその“恩”のことを書きたい。

私はわりと活字は好きな方で、読書する習慣が子供の頃からあった。しかし、単行本でも、文庫本でも、分厚いものは、その厚さだけでおののき、中身を見るまえに避けてしまう傾向はあった。

椎名誠さんのような「活字中毒者」(← もちろん敬意を込めての表現)でなければ、大方の人はそうなのではないだろうか?

それに、たとえ分厚い小説などに挑戦しても、面白くないと途中で頓挫してしまうのが常であろう。(少なくとも私はそうだった)

何を思ったのか、確か自分が敬意を持っていた方が、

「野間さんの『青年の環』は、昭和文学の中で秀逸な作品である」

言われていたので、岩波が文庫にしたということも合わさって、挑戦することにした。

野間宏というと、『真空地帯』や『暗い絵』などは有名だけれども…。

さて、全5冊の1冊を見て、案の定おののいた(笑)。幅が2センチはあろうか…、それ以上あるものもあった。「うわっ!」である。(笑)

しかし、何故かこの時は“読もう!” というパワーが勝ったのだ。

『青年の環』 野間宏(19151991)著 (岩波文庫) 全5

「舞台は日中戦争下の大阪・市役所に勤め部落更生事業に打ちこみつつ左翼運動に関係する矢花正行と、政治運動から脱落した友人大道出泉を対極の主人公として、政治関係や社会関係、友人・女性・家族関係等が細緻に描かれてゆく。全体小説をめざし、二十三年の歳月をかけて完成した八千枚の長篇」

内容が内容だけに、重い、重い話であり、けしてつまらなくはないけれども、面白くてたまらない!というようなものではなかった。

まるで、フルマラソンの第一歩に足を入れてしまった感覚であった。ページをめくっても、めくっても1冊目の半分にもなかなか到達しない。

1冊目を読了した時、ふと、「この5冊を完読したら、大抵のものは手にしておののくことなく読む体質がつくれるかも」と思ったのだ。

野間氏の易しいとは思えない「八千枚の長篇」を読了した時、その思いは正しかった。

それ以来、分厚い本を読む前に、書棚にある『青年の環』の幅を目視し、「これが読めたのだから、大丈夫!」という、おまじない(笑)にも似たパワーが得られるのだ。

ということで野間氏には、大きな“恩”がある。(笑)

「東大教師が新入生にすすめる本」

『UP』東京大学出版会(2006.4月号)には、毎年この号で、「東大教師が新入生にすすめる本」というタイトルの章が記載される。

毎年手にしているわけではないけれど、今年は読んでみた。

ターゲットを東大新入生と絞っていながら、そして1人が何冊も紹介していながら、いつも1冊もダブらない。

「何人もが薦めるんだから、これはきっといいのだろう」という視点が使えない。それとも、薦める教師側に共有価値観が乏しいのかも?!(笑)

今年の中に、『武士道』を挙げた方(橋本和仁:工学部教授)、そして『福翁自伝』を挙げた方(木下直之:文学部教授)がおられましたよ。

Kitahi もし、私が新入生に、いえいえ、新入生に限らず一般・全般にお薦めする一冊は? と問われれば、も・ち・ろ・ん!

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』 千住文子著 新潮社 である。

06413 そうです、お察しの通り、これが書きたくて、この項は書きました。(笑)

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コメント

長編小説とよく言いますが、どのくらい長ければそう言うのでしょうか?相対的なもので、基準なんてないのでしょうけれど。野間宏の「青年の環」は読んでいませんが、相当長そうですね。

私も本は好きですが、長いのは苦手かも知れません。プルーストの「失われた時を求めて」は気の遠くなるような長編ですが、全十巻(ちくま文庫)も途中で頓挫しています(笑)。時が失われてしまいそうです
(笑)これを読破しなければ、本好きなどと大きな声では言えませんが・・・・そのうち、かって上司から教わった速読術なるものでも駆使しないと。。。

千住文子著『千住家・・・・』これは当然、名著ですね(笑)冗談ではなく、広く読まれなければならないお薦め本です!!千住さんに関する本はスラスラ読めますね!爽やかな読後感も真理子さんそのものです。

小林秀雄も相当根気を必要としました。自分の能力の限界を知りながら読みましたね!!

投稿: ぷららきた | 2006年4月12日 (水) 23時44分

私も本が読みたくなってきました!
そしてまた最後に笑わせていただきました!!
本当にお薦めの本ですよね。千住家の本は、
ほんとスラスラと集中して読んでしまいます。
何度読んでも感動します。すばらしいですね☆

投稿: ちゃっきー | 2006年4月13日 (木) 17時48分

ぷららきたさん。

私もプルーストの同書、挑戦したことあります。すぐ挫折しました。(笑)
速読術は、個人差があると思いますが、ただでさえ忘れやすい素性である私には自分の血や肉にならない感じがするんです。

小林秀雄さんの文体も、ある意味難解ですからね。


ちゃっきーさん。

笑っていただき、ありがとうございます。
「笑う角には、福来たる」の精神で、これからも頑張ります。(笑)
それと、千住家の皆さんのように、スラスラと読める文体になるよう、私も精進しようと思います。
精進、て書いたら、「精進料理」を今、食べたくなってしまった。
どうやら、まだまだ修行が足りないようです。(笑)


投稿: トムとジャッキー | 2006年4月13日 (木) 23時56分

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