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2006年6月29日 (木)

■勝手な映画評(第29回) 『カーズ』

■ 勝手な映画評(第29回)   『カーズ』  ■

◎総合評価: 55 / 100

Pic16 Pic2 作品名: 『カーズ』(2006年/ 米国 / 114分)

監督/脚本: ジョン・ラセター

声の出演(字幕): オーウェン・ウィルソン、ポール・ニューマン、チーチ・マリン、他

分野: ファンタジー・アドベンチャー/アニメ

公開予定: 200671日(土)より

物語

Pic8 カー・レースの最高峰ピストン・カップに出場する若き天才レーサーのライトニング・マックィーン(主人公)は、新人ながら絶大に人気を誇っていてあと1勝で歴代最年少チャンピオンとなるレーシングカー(アスリート)だが、傲慢さから真の友達はひとりもいなかった。

決勝レース出場の為カリフォルニアへと向かう途中、マネージャーとはぐれたマックィーンはルート66沿いのさびれた田舎町へ迷いこんでしまう。

そして、不意のハプニングで気が動転し、その町の道路をメチャクチャに破壊してしまったことで、彼は道路の補修を済ますまで町に足止めされることになる。

Pic10 拘束中、マックィーンはユニークで興味深い車たちと出合う。新しい仲間達から得た知恵と友情、そして自身の努力を通して物事をゆっくりと進めることの価値を見出す。

この田舎町で成長したマックィーンは、皆に見守られながら決勝レースに挑む。そこにいるマックィーンは以前の高慢な彼ではなかった。

果たして、決勝レースの行方は。そのレースで、マックィーンは勝つことよりも大切なことを学ぶことになる…。

寸評

Pic3_1 1995年に映画史上初の長編フルCGアニメ『トイ・ストーリー』を発表し、以降ピクサーの中心人物として『Mr.インクレディブル』などの製作総指揮を務めてきたジョン・ラセターが6年振りに監督した作品。

CG映像ならではの迫力のレース・シーンや、多種多様な車がデフォルメされたキャラクターなどは車好きの人には楽しめる内容だ。

しかし、前回ピクサーが創った『ファインディング・ニモ』の完成された脚本、映像に比べると、内容が単純過ぎて面白みは欠ける。

ニモなどが魚そのままでのキャラクターであることに比べて、『カーズ』は、本来“生命”のない「車」そのものを全人格として擬人化し、登場するのは擬人化された車のみで、全く「人間」は出てこない。昆虫にいたっても小さな車に羽を生えさせた擬昆虫化という「車世界」の徹底振り(でも、自然界で昆虫は人間の小型化じゃないのにな。まあ、面白かったけど)。

Pic13 子供視線を重視しているので、大人が観るには少々物足りない。自然を表現するCG映像は、優れていて観る価値は十分あるし、その技術力の高さは秀逸である。

Pic11 ハイウェイ建設によって、時代に取り残されてしまったルート66への愛惜こそが主題になったとしたら、作品価値はもっと高くなったろう。

観終えて、この作品の表題を『カーズ』ではなく、『ルート66』という題名にすれば大人向きの表題にはなるのだが…。と思ってインターネットで公式HP以外の資料を探してみたら、

「当初は『Route 66』という名前で制作されていたが、1960年代に同名のテレビ番組があったことから、作品名を現在の『カーズ』に変えている。」ということだった。

う~ん、やっぱり製作者も『ルート66』にしたかったんだなぁ。無念だったろうな。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*ピクサー作品の好きな人 →★★★★

*車が好きな人 → ★★★☆

*ファンタジーが好きな人 → ★★★☆

*デート → ★★★

*暇つぶし → ★★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「劇場」 

      CG映像の迫力や、優れた自然描写観賞はスクリーンで!

公式HP:  http://www.disney.co.jp/movies/cars/

鑑賞日 2006.6.20(火) イイノホール

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2006年6月28日 (水)

■ロンドンミュージカル 『アワ・ハウス』 6/19

■ ロンドンミュージカル 『アワ・ハウス』 ■

Awa2_1 原作: ティム・ファース

演出/翻訳: G2 

音楽: マッドネス

出演: 中川晃教、池田有希子、瀬戸カトリーヌ、香寿たつき、入江加奈子、他多数

分野: ミュージカル

公開: 2006616日(金) ~ 72日(日) 23回公演

物語

Awa3 主人公の少年ジョーは16歳の誕生日を迎えようとしていた。ここロンドンでは、16歳は大人への入口で、もう子供ではない。

ジョーは友人から「コンドーム」を贈られる。ジョーのガールフレンドのサラも友人からピルを持たされる。誕生日の夜、二人は待ち合わせて逢う事になっていた。

工事現場のベンチに二人が揃うが、二人とも自分の持っていた避妊具を見つかりそうになって捨ててしまう。

ジョーは、「君に見せたいものがあるから、ここを昇ろう」とサラを“立入り禁止”の柵を壊して、入ってはいけないビルに登る…。

そこに待ちうけていたのは、「非常ベル」と「犯人を追う警官」。(実はジョーの幼なじみの中の悪ガキが同じく不法侵入して泥棒をして発覚して追われているのだが、二人はそのことを知るよしもない)

ここで、ジョーは2つの選択肢から人生を選ぶことになる。一つは“良いジョー”で、立ち入り禁止地区に入ったことで逃げずに警官にそのまま捕まるという選択。そしてもう一つが“悪いジョー”で、サラよりも先駆けてその場から走って逃げるという選択。

奇怪なことに、「ジョー」が二つに分かれ、そのまま「良いジョー」と「悪いジョー」に舞台もストーリー展開も分断されつつ進むことになる。

この選択時の背後に、亡くなっているジョーの父親の亡霊が出てきて、二つのジョーを見守っている。見守るだけで、何もできないのであるけれど…。

物語は、良いジョーと悪いジョーのその後の人生展開を細切れ的に交互に進む。

悪いジョーは、不動産業を起業し要領よく、ずるがしこく、詐欺的に大儲けをして金持ちになっていく。そして念願のサラとの結婚も果たすことに。

良いジョーは、少年院あがりの傷ついた履歴から、まともな職にもつけず貧困生活へと転がっていく。サラとは別れることにもなってしまう…。

人生とはこんな理不尽で悲惨なものなのか? これでいいのだろうか?どんどん、良いジョーが廃れていく…。

果たしてこの二人の運命は、このまま明暗に別れて進んでいくのだろうか…。

寸評

Awa1 原作は本国イギリスで、2003年ローレンス・オリビエ賞 ベスト・ミュージカル受賞を受賞した作品。

このストーリーには、社会的背景があり、ジョーたちは「北アイルランド」を故郷(ルーツ)に持つ、アイルランド系で、ロンドンの下町に彼らは指定地域的に住んでいて、そこは純粋なロンドンっ子たちは親から近づいてはいけないと言われている地区。つまり、アイルランド系への差別が、背景/根底に流れている。

道徳のような二者択一のシンプル設定。その「良い」「悪い」二役を兼ねる主人公が中川晃教。その早変わりが、見所の一つになっている。しかしながら、確かに早変わりのスピィーディさはすごいのだが、「悪」と「良」のコントラストさが微妙で、途中イライラする。

最後に、この「悪のジョー」へのカタストロフィー(悲劇的な結末)が用意されている。この「母親」への対応のコントラストはハッキリしていて、この場面/設定は、唯一秀逸である。

冒頭の二人のジョーの場面と最後のクライマックスがよく出来ているが、中盤が中途半端で且つめまぐるしさが目立って、なかなか観賞に集中できない。演出/構成の問題であると思う。

また、キャスト的にも「中川晃教の、中川晃教による、中川晃教のための」作品なのであるが、それが活かされていない。

1幕の終わりに、会場にいたある中川ファンと見える女性が、

「これじゃ、晃教(たぶん愛称で呼んだと思うが、アッキーとか何とか)の良さがぜんぜん活かされてなーい! 初日に観た○○ちゃん、文句言ってなかった?」と怒っていた。

ストーリー的には、2幕目の最後のクライマックスがあることでなんとかこの作品鑑賞を「観て良かった」と思うことができた。

出演者のほとんどは若く、それぞれがはち切れんばかりに舞台を飛び回っていて、観客よりもキャストたちが楽しんでいるというパターンである。

舞台セットや音楽に関しては、なかなかの技を見せている舞台で、ホールもどの角度からも観やすい設計であった。

公式HP: http://www.g2produce.com/other/ourhouse/

鑑賞日 2006.6.19(月)  新国立劇場 中劇場(初台)

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2006年6月27日 (火)

私的ワイン物語

Silent1 今日は『サイレントヒル』試写会に行った。

Pic3

まだ、書きたくて書いていない作品に『カーズ』(映画)と『アワ・ハウス』(ミュージカル)もある…。

Awa2もし原稿料が入れば、もっとちゃんと書くのかなあ…。な~んちゃって(笑)。

6/24に千住会スタッフEさんに聞いたところ、今年も千住会・例会での個人的なプレゼントは中止の方向ということなので、7/16(日)サントリーホールの千住さんW公演時に、以前から報告している私的に最も力を注いで見つけた「ワイン」を持って行こうと予定している。

千住さんにお渡しできたら、このブログにも公開しようと思うので、もしも、もしも、気にかけておられる方がいましたら、こうご期待!

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2006年6月25日 (日)

千住真理子ヴァイオン・リサイタル 6/24

6/11に神奈川音楽堂で志向の変った公演に行ってから2週間で、再び千住真理子さんの公演に行った。

Kurea3_1 会場が最寄り駅から遠いので、どうしようかなあと思っていたら、Gさんが武蔵境駅から車で、私とFさんを乗せてくれた。いつもながら、ありがとうございます。

途中、「爆弾ハンバーグ」という恐ろしい店名(笑)のお店に入ってランチを食べてから、会場に向かった。

会場に着くとEさんがちょうど申し合わせたように駐車場に着いた。

駐車場には、千住さんの愛車も停まっていた。

Kさんは、もう会場のロビー入りしていた。

今日の千住会メンバーは5名での鑑賞。

■千住真理子『ヴァイオリン・リサイタル』 クレアこうのす 大ホール15:00開演)

●プログラム  (伴奏:藤井一興)

Mariko103J.S.バッハ/グノー アヴェ・マリア

*シューベルト/アヴェ・マリア

J.S.バッハ/千住明編曲 2つのメヌエット

*ベートーヴェン/ロマンス第1

*ヴィターリ/シャコンヌ

(休憩)

Mariko49_2*エルガー/愛のあいさつ

*リスト/愛の夢

*フォーレ/夢のあとに

*シューマン/トロイメライ

*サラサーテ/ブライェーラ

*サラサーテ/サパテアード

*ドヴォルザーク/わが母の教え給えし歌

*モンティ/チャルダッシュ

※※ アンコール ※※

*ドヴォルザーク/ユーモレスク

*千住明/アニメ「雪の女王」より スノーダイヤモンド

Mariko61千住さんは、いつもながら颯爽と登場し、1曲目のJ.S.バッハ/グノー アヴェ・マリアを弾かれた。

“デュランティ”は、1音目から歌っていて、今日は最初から快調な出だし。期待できる、至福の時間/空間を。

進行は、いつものパターンと同様だが、今日は真理子さんの体調がすこぶる良いのだろう、終始笑顔で説明される姿に、こちらも嬉しくなった。

伴奏は、藤井さん。藤井さんも気分がいいのか、いつもより笑顔が見られる。やっぱり、伴奏が藤井さんだと安心感もあり演奏を楽しめる。

演奏家同士の相性って、あるんだなぁと改めて感じる。

Mariko56 私的には、今日のプログラム中「J.S.バッハ/グノー アヴェ・マリア」「ベートーヴェン/ロマンス第1番」「ヴィターリ/シャコンヌ」「モンティ/チャルダッシュ」がとても良くて、「ヴィターリ/シャコンヌ」が圧巻だったし、素晴らしかった。

聴衆の拍手も割れんばかりのもので、千住さんも藤井さんも気分上々。

残念だったのは、3階席に空席が目立ったことぐらい。でも、利便の良いとはいえない会場で大部分の席を占める12階を埋めたのはたいしたものである(S席は完売)。

サイン会が行われたが、長蛇、長蛇の列で、流石地方会場の大ホール公演だなぁと思った。

列の最後尾に並んで、いつものようにご挨拶。ワインをお渡しすると、「私の赤い栄養剤!」と、笑顔でマネージャーに向かって話す真理子さん。そのやり取りと姿だけを観ても、ファンとしては喜びである。

Mariko12_2 サイン会を終えて、10分も経たない内に着替えを済まし、愛車に乗り込む千住さんを、皆で見送った。

きっと、舞台で早着替えもできるヴァイオリストなのでは?とくだらない空想もしたりするくらいの早業だ。(笑)

それから、今度はKさんのリクエストでステーキ屋に入って(今日は、昼、夜とお肉に縁のある日だった)、楽しく飲食/会食をした。

Kさんが、「プレミアムステーキ」(300グラム!!)とスープカレーとライス2杯をペロリと食べる姿を見て驚きつつ、昨年体調を崩されていたことを思うと、その回復/快気振りに、喜びが一つ増えた一日で、良日だった。

(ちなみに私は180グラムとライス2杯、そしてビール!だったけれど。Kさんのすごさ分かるでしょ! 笑)

いつもながらの「毒舌」のEさんが、「千住さん、トムさんへの評判けっこういいんだよなぁ…」と言われていたので、めちゃ嬉しかった。(もちろん、毒舌Eさんであるから、私への毒舌部分もあるけれどそれは書かない、きっとそれは千住さんの言葉ではなく、Eさん自身が言ったことだから、笑)

普段はえらそうなことを言ったり、書いたりする私も、千住さんの前では、まあ、こんな些細なことでも一喜一憂する普通のファンの一人なのである…(笑)。

鑑賞日 2006.6.24(土) クレアこうのす 大ホール

       知人同行者: Kさん、Eさん、Fさん、Gさん

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2006年6月23日 (金)

■勝手な映画評(第28回) 『ウルトラヴァイオレット』

明日(6/24)公開なので、この作品を先に取り上げる。

■ 勝手な映画評(第28回) 『ウルトラヴァイオレット』  ■

◎総合評価: 54 / 100

Ulvio11 作品名: 『ウルトラヴァイオレット』(2006年/ 米国 / 87分)

監督: カート・ウィマー

出演: ミラ・ジョヴォヴィッチ、キャメロン・ブライト、ニック・チンランド、他

分野: SF/アクション

公開予定: 2006624日(土)

物語

Ulvio6 21世紀末、アメリカ政府が開発したウィルスが漏れ、それに感染した人間は高い身体能力を持つ超人間(ファージ)に変化していた。その力を恐れた人間政府は、彼らを抹殺し始めるが、生き残ったファージは地下組織を結成し、人間政府との戦いを始め、激しい戦いが続いていた。

人間政府側は、ファージを一瞬で絶滅させる最終兵器を開発した。

一方、その情報を感知した地下組織は一人の殺し屋を送り込む。彼女の名はヴァイオレット(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。

彼女は最愛の夫と妊娠中の子を感染によって人間政府に殺されている悲しい過去を持つ。彼女の生きる目的は、その復讐に向けられていた。

Ulvio4 しかし、最終兵器の正体が9歳の少年でその余命が9時間しかないことを知ったヴァイオレットは、少年を守ることを使命に変え、人間政府と地下組織ともに狙われる道を選んだ。

地下組織にも狙われる中で、たった一人で700人の人間軍隊とも対峙し戦うことになる。絶体絶命の危機に迫られたヴァイオレット、そして少年の運命は、果たして……。

寸評

Ulvio7 『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ主演による近未来SFアクション。

正に「ミラ・ジョヴォヴィッチの、ミラ・ジョヴォヴィッチによる、ミラ・ジョヴォヴィッチのための」作品。

Ulvio8 原作がゲームということもあり、ストーリーということよりも「戦闘シーン」に重点が置かれているので、ヴァイオレットの戦いぶりと武器の扱いに集中して見所があるし、90%はその怒涛のようなアクションシーンで埋まっている。

アラビア文字のような、ヘブライ語のような文字が剣に書かれていたり、意味不明なものもあるけれど、ストーリー展開に疑問を持ったら、ツッコミどころも満載なのでシラケることになるので、アクション映像とミラ・ジョヴォヴィッチの美しさを観賞することに徹すれば、あっという間にラストシーンまで連れて行ってくれるジェットコースター映画で、そう思えば楽しめる。

Ulvio2 そして映画鑑賞というよりも、ミラ・ジョヴォヴィッチ観賞作品と言い換えてもいいくらいである。

近未来都市のロケは上海で行われたという。やはりハリウッドはアジアのマーケット視野を「日本」から「中国」に変更しているのがよく分かる。そういえば、もう一つの悪集団は香港マフィア的で、アメリカ人以外の登場人物は中国人だった。そのポジションは少し前ならば、日本ヤクザだったのだろうけれど。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*ミラ・ジョヴォヴィッチ好きな人 →★★★★

*アクション映画ファンの人 → ★★★★

SF作品が好きな人 → ★★★☆

*暇つぶしには → ★★★

*デート → ★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「劇場」 

    ミラ・ジョヴォヴィッチの美しさと華麗なアクションは大画面で!

公式HP:

 http://www.sonypictures.jp/movies/ultraviolet/index.html

鑑賞日 2006.6.22(木)  中野サンプラザ

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2006年6月20日 (火)

最高裁第三小法廷判決 6/20

ブログ更新が遅れている。 試写2本、ミュージカル1本は書くことを諦めた。そして、書く予定の「アワ・ハウス」ミュージカル鑑賞6/19  「カーズ」試写6/20は、後日更新となると思う。書けるといいのだけれど…。

社会のニュースに関しても日頃感じていることを書く機会を持ちたいと思っている。今日1日でも「怒れる」ニュースがこれでもかと報道されている。「日銀総裁」「村上」「イラク陸自撤退命令」「米産牛肉輸入再開合意」…、枚挙にいとまがない。そのどれもが国民を軽視していて腹が立つものばかり。(イラク問題は撤退命令に怒っているのではない、そもそもイラク戦争、アフガニスタン問題からの流れからも)

そんな中、今日は別に書きたいことがある。

■最高裁第三小法廷判決 6/20

Saiban1 「山口県光市で99年、主婦(当時23)を強姦(ごうかん)しようとして死なせ、長女(同11カ月)も殺害したとして殺人と強姦致死、窃盗の各罪に問われた元少年(25)に対し、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は20日、無期懲役とした二審・広島高裁判決を破棄し、審理を差し戻す判決を言い渡した。第三小法廷は「元少年の責任は誠に重大で、特に酌むべき事情がない限り死刑を選択するほかない」などと指摘した。差し戻し審で元少年に死刑が言い渡される公算が大きくなった」

このニュースに関して。

スタンスとして、「私は死刑廃止論者」である。もう少し詳しく言った方がいいだろう。「条件付死刑廃止論者である」

「死刑廃止」の流れは世界の潮流であるが、それだけに乗るというわけではない。「冤罪」があることからの消極的死刑廃止論である。

国家権力が冤罪によって人の命を絶つことは許されないと思うからだ。

しかし、明らかに「冤罪」ではなく「その極悪犯罪の実行者」としての認定の100%間違いがないものに関しては「死刑」があっていい、いやあるべきと思う。その罪に対する「責任を負う」のはあたりまえのことだからだ。

「更生」のための刑と言うけれど、まずは何事も「責任」を負うべきである。「更生」はそれから後のことだ。

「終身刑」の創設というけれど、憎むべき人がこの世に生きながら得ているということは、「被害者」としてやりきれないだろう。

現在の最高裁の現状からすると、今日の判決は精一杯の努力が見られるもので、私的には評価できると思う。

そもそも、このような卑劣な確定犯罪に関しては「地裁」「高裁」で「死刑判決」を出すべきものだからである。オウム事件にしてもしかりである。コンクリート殺人事件にしてもしかりである。

「人権派弁護人」とは、「極悪人の人権を守る」のが仕事ではなく、本来救われるべき社会的弱者の人権を守るのが使命であるはずである(例えば、原爆被害者(国内/外国とも)の人権)。

「罪を憎んで人を憎まず」ということが正論として社会通念になっているが、正直、私はこれにも限度があると思っている。

「罪」を犯すのは「人」なのである。別問題として到底分けることができない、と私は思う。

愛する人/子らを非情な形で殺されたら「死刑」であっても被害者の癒しにはならないであろう。だからといって「無期」(や「終身刑」)でいいのか? このような極悪犯罪には、少なくても「目には目を」である。

それができないならば、「敵討ち」の制度を復活してほしい。冗談ではなく、そう思う。

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2006年6月18日 (日)

新宿ルネッサンス Folk&Rockフェスティバル  6/16

Sin1 「新宿ルネッサンス FolkRockフェスティバル 3DAYS」の初日に、招待で行ってきた。

会場が、新宿コマ劇場…。「えっ?」って感じもするでしょ。演歌系や舞台それもオバサマ向けの、という場所だよね。

(実際に入ってみると、座席は前の人の頭が邪魔にならないようにずらして設計してあるし、音響も良かった)

Sin7 初日の出演者は、伊勢正三 with センチメンタル・シティ・ロマンス/泉谷しげる/大野真澄/尾崎亜美 and more/井上堯之。

3日間のメンバーを見ても吉田拓郎や井上陽水がいないし、その上の世代のフォークの神様(?!)岡林信康、高石ともやがいない。かぐや姫も伊勢のみ・・・、という感じでちょっと中途半端感は否めない。

(りりィとか、イルカとか、五つの赤い風船等々はいて懐かしいけれども)

私的には、この同時代の音楽を同時代に楽しめた(年齢が分かってしまうが、出演者の方々の方がずっと(?)上ですよ! 笑)ので、それぞれに聴きたい「歌」があり、それをやってくれるかなあと期待を膨らましてのin新宿コマである。

開演すると、まず全員で一曲歌い、その後それぞれが自分で選曲した45曲を弾いていくパターン。

以下、歌ってくれた、聴きたい「歌」をピックアップして紹介する。

大野真澄(元ガロ)

Sin6 「学生街の喫茶店」 やっぱり懐かしい。冒頭から「あの時代」にトリップする。この歌も、聴いた人々にはその人たちそれぞれの思い出があるだろうなあ~。

「君とよくこの店に 来たものさ

訳もなくお茶を飲み 話したよ

学生でにぎやかな この店の

片隅で聞いていた ボブ・ディラン

あの時の歌は 聞こえない

人の姿も変わったよ

時は流れた    ~~」

尾崎亜美

Sin5 「小娘の頃作った歌だけれど、今でもその頃と変らない気持ちで歌える曲です」というコメントを言ってから、

「オリビアを聴きながら」 

何度聴いても、名曲だなあと思う。尾崎亜美に感謝している歌手は沢山いるだろなあ。本当に作詞/作曲の才能のある方だ。

ラストに歌った「天使のウィンク」もなかなか良かった。

●泉谷しげる

Sin4 やはりエネルギッシュで、会場を一番盛り上げていた。

「黒い鞄」 うぁっ、ほんと懐かしい~。

「春夏秋冬」 今聴いても、名曲である、この感性は素晴らしい。

「ホリエモンと村上」をおちょくる歌も歌って、今でも社会派面もあったけれど、逮捕される前に歌うのが本来のフォーク魂なのにな…。

●伊勢正三

Sin2 「海風」 シンプルな楽曲だけれど、名曲と思う。

22才の別れ」 今日、この公演に来てこの歌が一番聴きたかった曲である。(けして22才の時に失恋したわけではないよ、念のため、笑)

「あなたにさよならって言えるのは 今日だけ

明日(あした)になって またあなたの暖(あたたか)い手に

触れたらきっと言えなくなってしまう そんな気がして

私には鏡に映った あなたの姿を見つけられずに

私の目の前にあった幸せに すがりついてしまった

私の誕生日に二十二本のローソクをたて

ひとつひとつが みんな君の人生だねって言って

十七本目からは一緒に火をつけたのが

昨日(きのう)のことのように

今はただ 五年の月日が

永すぎた春といえるだけです

あなたの知らないところへ

嫁いでゆく私にとって

ひとつだけ こんな私のわがまま聞いてくれるなら

あなたは あなたのままで

変らずにいて下さい そのままで 」

この曲、本当に好きだったなあ。

当時、こういう詩が書けるセンスに惹かれたんだと思う。

最後に、全メンバーが再び舞台に上がって「なごり雪」の合唱でこの宴は終演した。

19:00開演、22:40終演と、とっても長い公演だったけれど、なかなか楽しめた。名曲には、やはり「力」と「センス」が備わっていることを改めて感じた夜だった…。

【 鑑賞日 】 2006.6.16 新宿コマ劇場

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2006年6月17日 (土)

オペラ『魔笛』プラハ室内歌劇団 6/14

オペラ『魔笛』プラハ室内歌劇団(全2幕、原語公演)に、招待で行ってきた。

Maweki4 会場は、かつしかシンフォニーヒルズのモーツァルトホール。以前、千住真理子さんの公演で行ったことがある所。ちょっと分かり難い場所で、最寄り駅は「青砥(あおと)」。建物は立派でホールはとても綺麗である。

今年、オペラは『蝶々夫人』に行った以来かな。

席は2階席のセンター右寄り中段。舞台からは遠かったけれど、原語公演は、私には「日本語字幕」が頼り(苦笑)なので、全体が見渡せたのと字幕が読みやすい位置というのはよかったかな。(オペラピット内も見えた)

ただ、歌の迫力は1階席中央の方が楽しめるので少し残念…。

モーツァルトが大衆向けに作曲したオペラ『魔笛』(1791年)。モーツァルトが生涯の最後に完成させたオペラである。

オペラってわりと悲劇が多いけれど、『魔笛』はハッピーエンドなのがいい。

■モーツァルト『魔笛』Sin12

Sin13

昼と夜の二つの世界。夜の女王の娘パミーナは昼の世界を支配するザ ラストロに育てられている。夜の女王は娘を取り返し、昼の世界の支配権をザラストロから奪取しようと、王子タミーノに娘の救出を頼む。身を守るためタミーノは魔笛を、お供として同行することになってしまったパパゲーノは魔法の銀の鈴を与えられ、二人はザラストロの神殿までやってくる。ここでタミーノはザラストロが徳の高い高僧だと知り、パミーナを救うためにパパゲーノと共にザラストロの神殿で修行をする事になる。過酷な試練を乗り越えた二人は、祝福のうちに結ばれる。復讐に現われた夜の女王は、雷鳴とともに地獄に落ち、晴れて勝利者となったザラストロの高徳と栄光を讃える声が響く。

指揮: マルティン・マージク(スロヴァキア国立歌劇場指揮者)

演出: マルティン・オタヴァ(プラハ国立歌劇場首席演出家)

管弦楽: プラハ室内歌劇場管弦楽団合唱: プラハ室内歌劇場合唱団

Maweki5 『魔笛』のアリアでは、なんと言っても「夜の女王のアリア」が見せ場/魅Maweki1 せ場である。この歌劇団ではダグマル・ヴァニュカートヴァーさん(舌を噛みそうな名だなあ、笑)、少し声の線が細い感じも受けたが、アリアはまあまあ楽しめた。彼女は、プラハ国立歌劇場でも夜の女王役だそうだ。

Sin9 そして、パパゲーノとパパゲーナの二重唱「パ・パ・パ」が、軽快且つコミカルなもので、ハッピーエンドにとても合っていて私的にはすごく良かった。

モーツァルト生誕250周年記念公演、モーツァルト作『魔笛』、モーツァルトホールという、“モーツァルト空間”を味わった贅沢な時間だった。

余談的だけど、タミーノを大蛇から救う3人の侍女が上衣装を脱ぐと、3人の童子役に早代わり!?と別役兼任は小劇団のような印象も受けてしまった。3人の童子役も別キャストにした方がよかったのでは?と思った。

Maweki6この歌劇場、翌日以降、川口リリアホール、太田、鎌倉、オーチャードホール、岐阜、佐賀等々とジャパン・ツアーの過密スケジュール、それでかホール出口には2台の移動用大型バスがすぐ出られるよう待機していた。

【 鑑賞日 】 2006.6.14 かつしかシンフォニーヒルズ  モーツァルトホール   知人同行者(Mさん)

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2006年6月15日 (木)

平原綾香 LIVE TOUR 2006 “4つのL” in 武道館 6/13

Hira8 平原綾香の全国20ヶ所を回った、LIVE TOUR 2006 “4つのL”ツアーファイナル武道館公演、Gさんにチケットを頂いて行って来た。

2階席中段だけども、真正面でステージ全体が見渡せる好位置。Gさんは1階席の1列目だそうだ。

Hira13 アルバム『4つのL』のツアーなのであるが、私はこの新譜を持っていないし聴いていない。(持っているのは、「晩夏」や「いとしのエリー」などが入っているカバーアルバム1枚…)という不勉強ながらのライブ鑑賞。

ライブは、20分押してのスタート、4つのLの「Love」「Life」「Luck」「Live」の頭文字から、それぞれの「L」で進行していく。

Hira4初めにミニスカートでの登場。初々しさが溢れている。

まだ始まったばかりの45曲目に、アリーナ席中央にセット/用意されていた「センターステージ」に移動して、回転イスに座って360度廻ってのサービス精神。

センターステージと言えば、浜田省吾さんのツアーが脳裏に焼き付いているなあ。彼は終盤に移動したけれど。その時の「演奏旅行」がめちゃ良かった!おっと、今回は、浜省の話ではなく、平原だった。(笑)

アリエスの星」の時には、平原綾香の実父、サックス奏者平原まこと(54)さんが同じ舞台に登場。音楽だからこそできるスチュエーションだろうな。24人のオーケストラ編成で、その中には、先日行ったNHKの公開収録で聴いたトランペットのエリック宮城さんもおられた。

Hira12 また、アンコールではファンの要望に応えて、「イナバウアー」のまねをしてから、7/19発売の両A面シングル「Voyagers/心」から、「Voyagers」を初披露した。

こうして、全20曲を歌い上げて、ファイナルツアーを終えた。

歌唱力のある平原さんは、武道館(追加公演)という大舞台を成功させたことでますますこれからも成長していき、今後の活躍が楽しみなアーティストになるだろう。

Gさん、今回もありがとうございました。

ツアーの様子は、以下の特設サイトでムービー視聴ができる(武道館公演のものはまだないけれど)

http://4-l.jp/

【 鑑賞日 】 2006.6.13  武道館

        知人同行者(Gさん)

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2006年6月13日 (火)

宮城道雄の聴いた曲 弾いた曲 特別公演 6/11

Miya3 横浜能楽堂特別企画公演『宮城道雄の聴いた曲 弾いた曲』に行って来た。主催が横浜能楽堂。チケット完売。

能鑑賞は、国立能楽堂に2回、渋谷にあるセルリアンタワー能楽堂に2回と過去4度の経験しかない(能は、「狂言と能」がセットされているのが基本形で、私は易しい狂言の方が楽しいという初心者である)。

しかし、今日の公演は「能」ではなく、異色の企画公演で、何故行ったかと言うと、千住真理子さんが出演されるから(快笑)。

案内から紹介すると、

Miya2 『ジャンルを超えた共演が企画の魅力のひとつでもあり、「限りない音楽への好奇心」と題し、筝曲の古典や宮城が深い関心を寄せたクラシック音楽、中国・韓国の古典音楽などを琴・三絃の藤井泰和、ヴァイオリンの千住真理子、中国古筝の姜小青らが演奏する。「こうして名曲は生まれた」。宮城作曲の「水の変態」「秋の調べ」「比良」「さらし風手事」「ロンドンの夜の雨」「春の海」が、藤井、菊原光治らにより演奏される』

「トーク」を入れた3部構成で、14:0018:15とかなり長丁場の公演だった。

<プログラム>語り手: 金泰希(女優)
1部「限りない音楽への好奇心」 (宮城氏が影響を受けたと推測される曲を特集)
 「鶴の声」藤井泰和(唄・三絃)、川村泰山(尺八)
 「松竹梅」山登松和(唄・箏)、菊原光治(唄・三絃)、徳丸十盟(尺八)
 「成錦鳶流伽琴散調」金貴子(伽耶琴)

 「さくら伽琴変奏曲」金貴子(伽琴)
 「寒鴨戯水」姜小青(古筝)
 「ムカム散序与舞曲」姜小青(古筝)、馬平(Per)
 「シューマン:トロイメライ(ピアノ曲集 子供の情景より)」藤井一興(Pf)
 「バッハ:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調)」 千住真理子(Vn)
 「フランク:ヴァイオリンソナタ・イ長調」千住真理子(Vn)、藤井一興(Pf)

トーク「弦が結ぶ東洋と西洋」
 スピーカー:宮下秀冽、姜小青、金貴子、千住真理子 

 司会:葛西聖司(NHKアナウンサー)

第2部「こうして名曲は生まれた」 (宮城氏が作った代表曲を軸)
 「水の変態」武藤松圃()、田中奈央一(唄・箏)
 「秋の調」設楽千聡代()、宮下秀冽()、徳丸十盟(尺八)
 「比良」菊原光治(唄・三絃)、奥田雅楽之一(唄・箏)、川村泰山(尺八)
 「さらし風手事」米川文清()、五月女文紀()
 「ロンドンの夜の雨」山登松和()
 「春の海」藤井泰和()、千住真理子(Vn)

予想はしていたが、基本的に「睡魔」との闘い(苦笑)だった。千住真理子さんの演奏を聴くのが目的という、他の演奏者には無礼者!?だから…。

宮城道雄氏への基礎知識は「春の海」しか知らなかったし…。

Mariko9今日の千住さんの「シャコンヌ」は、少々不安定で…。やっぱりいつもと全く違った環境での1曲目、仕方がないことかも。

次のフランク/ソナタは素晴らしかった。デュランティが歌っていた。

無知識であったので、「トーク」は興味深く面白かった。

「箏」の弦が、当初の中国で11本、韓国に渡って12本、日本では13本とその基本系が1本ずつ増えていく。元祖中国では、現在若者のポピュラー版は、なんと21本だそうだ。

宮城氏は研究熱心な方、箏一つで“オーケストラ”の音色を出せることに挑み、弦80本の箏を作ったとか(残念ながら、現物は焼失)。

ヴァイオリンは、弦が4本だけれど、弓の馬の毛は(確定しているわけではないそうだが)今日持ってきた千住さんのはだいたい250本と言われていて、角度等々を駆使していろいろな音/奏でを出すということだ。

「弦」一つとっても奥深いなあ。

箏を弾く、爪もお国柄があって面白い。中国は鼈甲、韓国はつけず、日本は象牙という。付ける指も違うようで、日本は右手の親・人指し・中指の3本。知らない事が、まだまだ沢山あるなあ…。

トークの中国人、韓国人の演奏者の日本語が流暢なことにも驚いた。中国古筝の姜小青さんはサントリーのウーロン茶のCM音楽の方。

トーク中、皆が「春の海」を絶賛。

「その名曲春の海、私が弾くことになっていてすみません。17年振りなんですよ」と千住さん。それも、今日初めてお会いした藤井泰和さん(箏)とのセッションという。

Mariko33 「春の海」、ヴァイオリンと箏の奏でが思った以上に合っていて調和され、とっても良かった。もちろん、千住さんらの腕/技量によってのことではあるだろうけれど。

長い公演だったが(正直半分は睡魔との闘いだったなあ)、やっぱり千住さんに逢えて良かった。

志向の変った公演にも関わらず、千住会のメンバーが6名も揃った。

公演後、恒例の飲食会に雨の中の桜木町へ歩いて向かう。気の合う人たちとのお酒は美味しいな!! 千住さんの公演後の楽しみな時間・空間である。

いつものように、乾杯をする時に、想定外なことが…

「明日がトムさんの誕生日ということで~~」

私の誕生日を皆さんが祝ってくださり、

「いやぁ~、驚きました。(基本的にシャイなので、喜び方がヘタですみません。)お心遣いとともに、感謝の気持ちでいっぱいです。

嬉しかったです。この場を借りて、重ねてお礼申し上げます!」

素敵な柄の入ったワイングラスセット、三ツ星レストランのワインリストに載る銘酒ワイン、横浜増田窯の素敵な食器のプレゼントまでいただいて、ありがとうございました!!

というわけで、千住さんに逢えて、皆さんに誕生日を祝っていただけるという、とても贅沢で幸せな一日でした。

皆さん、これからもヨロシクね!

鑑賞日 2006.6.11(日) 神奈川県立音楽堂

        知人同行者: Kさん、Fさん、Gさん、Mさん、Cさん

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2006年6月12日 (月)

■勝手な映画評(第27回) 『バルトの楽園(がくえん)』

■ 勝手な映画評(第27回) 『バルトの楽園(がくえん)』  ■

◎総合評価: 50 / 100

Daiku15_1 作品名: 『バルトの楽園(がくえん)』(2006年/ 日本 / 144分)

監督: 出目昌伸

出演: 松平健、ブルーノ・ガンツ、阿部寛、高島礼子、他

分野: ヒストリー/ヒューマン・ドラマ/

公開予定: 2006617日(土)

物語

Daiku14 1914年、第一次世界大戦で、ドイツの極東根拠地(中国・青島)に日本軍は3万人の大軍を送り、攻略した。

その捕虜数、なんと4700人。日本に送還され全国12ケ所の捕虜収容所に振り分けられた。そして1917年には6ケ所に統合された。

Daiku5 作品の舞台は、渦潮で有名な徳島県鳴門市にある坂東捕虜収容所。

会津人の松江豊寿(松平健)所長の独自の指導の下、捕虜たちの人権を遵守し寛容な待遇にあった。それは、地元民(日本人)と捕虜(ドイツ人)との文化融和を図るものであり、収容所内で、パン工場、印刷所(収容所新聞発行)、そしてビール工場やソーセージ製造なども。楽器演奏や器械体操、柔道と枚挙に暇のないくらいの数々の交流も。

Daiku10 内部告発から、日本軍上層部から予算を削られても、山を買い捕虜たちに山林伐採で独自の収入を得て保つ。

松江所長は、捕虜たちからも絶大な信頼を得る。

第一次大戦の結果、ドイツ帝国は崩壊する。

そして、自由を宣告された捕虜たちは、所長、所員、そして地元民に感謝を込めて、日本初ベートーヴェン『交響曲第九番 歓喜の歌』、混声合唱曲を男性合唱団編(捕虜だったのは男性のみなので)に編曲して演奏することに…。

寸評

Daiku12 実話を基に作られた作品で総製作費15億円。その内、収容所オープンセットに3億円かけたという。

話としては、感動的で人間賛歌。戦争時に日本で松江所長のような人権意識を持った人格者がいたことは、素晴らしいと思った。

彼が、会津人で「革命」(作品の中での表現、教科書的には明治維新。グローバル視点では、やはり革命と言えるかな)で非常な差別を受けた中でも「会津人としての誇り」、その誇り高き人物の物語である。

この点は、高く評価したい。

Daiku11 ただ、1914年の第一次世界大戦時の話を何故今なのか?が伝わってこない。戦争の悲惨さも表現されているが、その後の第二次世界大戦まで日本がどのようになって行ったかの説明は全くない。そのため、平和を望むメッセージ性は弱くなるなあ、これだけでは。ドイツ人捕虜との奇跡的な温かく人道的な「松江物語」で終わってしまう気がする。

楽園を「がくえん」とするタイトル、気持ちは分かるけれど違うタイトルの方がいいかなあ。

ストレートに、『歓喜の地 ~奇跡の“第九”日本初演~』なんてどうかな?

Daiku16 “第九日本初演”もかなりインパクトのある事柄で、現在でも日本人は第九が大好きなのは、こんな逸話のせいもあるのかなと感じさせた。

でも、617日公開というタイミングもよく分からない。まさかW杯ドイツ開催に合わせたわけでは…?

エンディング・ロードに入る中、カラヤン指揮をはじめ、日本各地で演奏・合唱される第九シーンが細切れ的に流される。

タイトル中の「バルト」とは、ドイツ語で「髭(ひげ)」という意味である。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*邦画大作が好きな人 →★★★★

*第九に思い入れのある人 → ★★★☆

*松平健が好きな人 → ★★★☆

*現代・国史好きな人 → ★★★

*デート → ★★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「劇場」 

    製作費15億円の大作、スクリーンでみましょう!

公式HP:  http://www.bart-movie.jp/

鑑賞日 2006.6.8(水) よみうりホール

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2006年6月10日 (土)

千住博展『ワールドスタンダード・日本画新世紀』 & 杉野宣雄『押し花展』 6/7

●千住博展『ワールドスタンダード・日本画新世紀』(6/712

Hirosi11_2 千住真理子さんから広がって、その実兄・長男の日本画家千住博さんは絵画を観たり講演を聴いたりして、作品・人物ともファンになった人。

東京で展覧会や個展等がある時はできる限り行くことにしている。

今回は、以前銀座のギャラリー白石で観た「フォーリングカラーシリーズ」の一環。

ギャラリー白石で観た時、「ウォーターフォール」(黒地に白色の滝が基調)の方が観た感じも生理的(感受)にもいいなあ、滝がカラーになっちゃうのはなあ…。滝の色を変えるという考えもつかなかった手法に挑戦する“志”には感心したけれど。

Hirosi4 しかし今回改めて観たら印象が変るかな、と自分の変化もあるかもしれないと楽しみにしていた。それと、行ったら博氏に会えるような気がなんとなくしていたので、もちろん確証があるわけではないけれど…。

6/7初日に行って来た。

Hirosi5ワールドスタンダード・日本画新世紀』/生まれ変わった「ウォーターフォール」という、表題/副題に、少々戸惑う。

昨年、『月刊美術』11月号の表紙が、博さんのフォーリングカラーからの一点。その号の特集が「21世紀日本の美術家TOPの顔ぶれ」というもの。おそらく、業界ではフォーリングカラーシリーズはそれなりの評価を得ているのだろう。

会場入口に、お祝いの祝花が所狭しと埋め尽くしていた。

記帳をしてから、数作品観始めたところ博さんがこちら(入口)の方に向かってくるのが見えた(やっぱりご本人に会えた!)。すれ違い様に目が合ったけれど博さんには面識がないので…(真理子さんや文子お母様でしたら声もかけられるのだが)。

「おうっ、よく来てくれたね~」と一人の男性に博さんが親しげに声をかけられた。旧来の友人なのだろう。

「フィラデルフィア、楽しみだよ」「うん、その時また来てくれ」みたいな会話が聞こえた。(私も内心、フィラデルフィアへの作品展、山種美術館12月、すごく楽しみ!と思った)

少しすると、今度は男性3人とその連れ社員(?)と思われる女性2名にお互い深々と挨拶されていた。おそらくお仕事関係の方々なのだろう。博さんの他、この展のスタッフ1名付いたので、7人の団子状の塊と化す。

私の観ている作品にその塊と、他の作品2点が鏡のように映って新しい作品に観えて面白かった。

「フォーリングカラーが、ちょうど20世紀と21世紀の境に開かれたようだね」という感想が聞こえる。

Hirosi9 作品は、絵画と花瓶(ガラス)で51点。そのうち絵画は30点ほど。

「緑」「青」「赤」「黄」「白」「ピンク」「オレンジ」、絵画の「基調にした色」への思いをそれぞれコメント/解説したものが書かれており、それを読むとこの作品に取り組んだ時の博氏の「その色」に対する感情/思いがよく分かって面白かった。

一番印象的だったのが「白」、やはり画家らしい独特の視点で興味深いものだった。

「青」についてはこんなことも書かれていて。「青い食べ物はない。飲み物はカクテルなどにあるけれど…」みたいな。

ひねくれ者の私は、頭の中で青い食べ物を探す!アイスクリーム、マーブルチョコレート、…着色したものにはあるけれどなあ(笑)

Hirosi17 フォーリングカラーは、綺麗だけれどやっぱり違和感を覚える…。何度観ても、私的には「ウォーターフォール」シリーズの方が好きだ。生まれ変わる必要を感じないなあ…。

それだけに、ウォーターフォールはものすごく絵力のある作品で何度観ても素晴らしい感動を感じる。この作品の生命力は永遠だろうと思う。2004年ウォーターフォール、千住博展」の素晴らしさが今でも脳裏に貼り付いている。

出口近くに、ご婦人とスタッフの1名がいて、ご婦人が「これも素晴らしいわ! これは、博さんがどう思って書かれたの?」とか聞かれていた。

そして、博さんがそのご婦人にもご挨拶。お知り合いのようだ。会話はほとんどなく深々とお辞儀をされて、博さんは会場を出られていった。

私は、それからもう一周観て回った。

余談であるけれど、渡辺香津美CD『ギター・ルネッサンス』シリーズのジャケットは3枚とも博さんの絵である。まだ、フォーリングカラーはないけれど。

●杉野宣雄『押し花展』(6/618

千住博展から近い所で、招待券もあったのでこちらにも寄ってみた。

Suzino1 押し花のイメージを超える作品群だった。

まるで、絵画の世界である。それも美しい作品が多く、あー心の綺麗な人が創っている作品なんだなあと感じさせた。

Suzino4 植物美を徹底的に追求する杉野芸術の世界は「ポタニック・アート」と呼ばれ、観る者の心に静かな感動と癒しをもたらすという。

今回は、最新作を含む120点。

Suzino7 作者は横浜在住。横浜“県”人の誇りを持つ私としては親近感があるかな!?(笑)

ポストカードを贈ったら、喜ばれる作品ばかりに感じた。

「綺麗は素敵」世界という感想。

Suzino8 絵画世界とは違って、美しさ/綺麗さのみを創造・追求しているので、思想性や人生観、世界観という広がりはまだない。

観て、心安らかになるほっとステーションという感じかな。

【 鑑賞日 】2006.6.7

*千住博展 (高島屋 日本橋店)

*杉野宣雄展 (三越本店日本橋店)

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2006年6月 8日 (木)

歌のない音楽会(公開収録: 6/6)

シブヤらいぶ館『歌のない音楽会』(司会:渡邊あゆみ)の公開収録(2本撮り)に行って来た。

今回は、小山実稚恵さんがゲストのお一人なので、小山さんのファン(?)であるGさんをお誘いして行って来た(彼が6月中旬、小山実稚恵さんの公演にチケットを取って聴きに行くというのを聞いていたから)。

今日は、曲目プログラム等、公演に関する資料は何も配布されなかったので、演奏曲目の詳細を書けません…。

<①> 小山実稚恵 ~ 究極のピアノ名曲集 ~

ステージ上に一台のピアノ(スタンウェイ)が中央にある。

(公演は19:00開演だけれど、小山さんはお昼頃から来られて調律されていたという…、ご自身が? 反響板などがないので、とても調律の難しい会場、と小山さんご本人の弁。)

このライブ、私的にはいろいろ驚きもあって面白かった。

まずは小山実稚恵さんプロフィールから、

Koyama11982年チャイコフスキー国際コンクール第3位、1985年ショパン国際ピアノコンクール第4位と、二大国際コンクールに初めて入賞し、その後も人気、実力ともに日本を代表するピアニストとして目覚しい活躍を続けている。ショパンコンクール入賞から20年にあたる2005年は、東京、仙台、京都にての記念演奏会を開催するほか、ショパンのバラード全曲を中心にした全国リサイタルツアーを行っている。

レコーディングも活発に行い、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び、数多くのCDをリリース。最新盤「スクリャービン:ピアノ・ソナタ全集(3枚組)」(ピアノソナタ全10曲、24の前奏曲、詩曲他)はレコード芸術誌特選盤に選ばれ、各方面で話題を呼んでいる。今後のリリースとしてはショパンのバラード集を予定している

2005年第7回ホテルオークラ音楽賞を受賞。東京芸術大学、同大学院修了。吉田見知子、田村宏各氏に師事」

1曲目が、「子犬のワルツ」。テンポよく快調な出だし。

小山さんの弾きは、力強いが“音”が濁ることなく美しい。(某N女史さんなどは、ただ乱暴という印象を受けてしまうのだけれど、小山さんの奏では素晴らしい)

このステージでは、司会者のある意味大胆な質問の連続で、その質問にも真面目に真剣に応えている小山さんの人柄が心地よかった。(例えば、唐突に「ピアノ止めたくなったことないですか?」とか、話の流れで聞くならばまだしも冒頭に聞くのがそれって?と思ったけれど、笑。他にも大胆質問あるけれど、それは放送をお楽しみに。もう一つ書くと「弾いている時、どこ見ています?」とか)

そうそう、渡邊さんが、こんなことも聞いた。

「ペダルって、どういう風に使うんですか?」みたいなことを。

その応えが、

「ピアノによって、ペダルの使い方(踏み方)がそれぞれ違うのです。同じ音を探るのに踏むのですが、あるピアノは深く踏み込む、あるピアノは浅く、もうどのピアノも違っていて、いままでどれひとつ同じ具合のピアノに合ったことがありません。皆、違うんです」

ペダル一つも、奥深い…。

次に驚いたのが、係りの人がピアノの前にもう一つイスを持ってきて並べたのだ。楽譜をめくる人用ではなく、くっ付けて。

そう、“連弾”である。そのお相手が、なんと司会者の渡邊あゆみさん!

なかなかの腕前だった!?

Koyama2 その次に、驚いたというか面白かったのが、スクリャービンというピアニストが右手を怪我して、左手だけで両手を使ったように聴こえる曲を作ったという逸話を話してから、その曲をもちろん左手のみでご披露。(もしも、スクリャービンが左手を怪我したら右手だけ用を作曲したんだろうなあ、何て考えながら聴いた、笑)

いやあ~、それを観ながら聴けるのが実に面白かった。

ラストに、ラフマニノフである。小山さんと言えばラフマニノフの印象があったので、楽しみ! とても素晴らしい演奏で圧巻だった。

う~ん、名手のピアノ弾きの奏では本当に心地いい、そんな時間だった。

放送予定日

BShi  7/ 5(水)    20:0020:43

BS2   7/12(水)   18:0018:43

< ② >中西俊博と仲間たち ~ 魅惑のストリングス ~

Nakanisi1 「中西俊博と仲間たち」と言うより、「中西俊博と教え子たち」という感じ。全部で20名くらいの大所帯! 第1部とは装いが全く異なる音楽空間。

冒頭、ヴァイオリンを持った67名が中央に集まって、ステップを踏みながらの中西さん作曲作品。(千住さんにやって!と言っても、絶対やらないだろうなあ、笑)

最初の1曲から最後の7曲目まで、完全なる“中西ワールド”だった。

彼は、いろんなことをやりたいんだろうなー、クラシック畑から旅立ち、どんどんその世界を自分流に拡げている。例えば、エレキ・ヴァイオリンを使用したり。今回も「やりたいことをやらしてもらう」ということで、出演を決めたそうだ。

渡邊さんが、一人の出演者(女性)に、

「中西先生はどんな先生?」と質問したりしていた。

中西さんの音楽世界は、「徹底的に音楽を自分たちが楽しむ!!」という姿勢。だから時には観衆を置いていってしまうようなことも…、(笑)。

印象的な言葉があった。

「例えば、もし間違って楽譜と違う音が出ても、それを間違いではなく生かすことができるのでは? と考える。それが、今はニーズや需要がない音でも、いつかそれを認められる音にできるのではないかと」

非常に楽観的、ポジティブ!?なのである。

でもなぁ、違和感のある音から拡げるっていうのは合わないのがほとんどだからなー。現代音楽みたいな不可解な音の連続になりかねないのではと思った。(私が保守的なのかなあ、笑)

Nakanisi2 じっくり聴くというのではなく、ストリングスを流れるように楽しむという120%中西ワールドだった。

それなりに楽しい空間で、音楽を多くの演奏者と共に共有する楽しさがあった。ただ、観衆の多くがご年配の方が多かったので、このような新しい試みにはちょっと向かなかったかも。

放送予定日

NHK - BShi  7/12(水) 20:0020:43

NHK - BS2   7/19(水) 18:0018:43

【 鑑賞日 】 2006.6.6 NHKふれあいホール(渋谷)

           知人同行者: Gさん

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2006年6月 7日 (水)

■勝手な映画評(第26回) 『STAY ステイ』

■ 勝手な映画評(第26回)   『STAY ステイ』  ■

◎総合評価: 40 / 100

(余談)

今日は恵比寿ガーデンシネマ劇場観賞(定員入替制)なので開映(19:151時間前に受付を済ましてから、軽い夕食をし、そして場所が“恵比寿”、と言ったらやっぱり“ビール”ということで、ビアステーション恵比寿に入店し、夏限定という「プレミアムアルト」という麦芽100%のビールを飲んだ。どうも“限定”という表現に弱い(笑)、でも美味しかった。

Stay8 作品名: 『STAY ステイ』(2005年/ 米国 / 101分)

監督: マーク・フォースター

出演: ユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ、ライアン・ゴズリング、他

分野: イリュージョン・スリラー/ラブストーリー/サスペンス

公開予定: 200663日(土)より公開中

物語

Stay4冒頭、激しい交通事故の場面が炸裂する。

車から弾き飛ばされた運転者の若者が呆然と事故車の前に。すぐさま事故車は炎上する…。

若者はふらふらと歩き出す。

Stay6 目が覚めると、そこは自分の部屋のベッド。若者ヘンリーの映像が重なるように精神科医 サム(ユアン・マクレガー)となり、出勤の準備をする。

そこには、愛するライラ(ナオミ・ワッツ)がいる。

病院に出勤すると、交通事故を起こした若者ヘンリーがいる。彼は自殺願望があり、3日後に自殺すると予告宣言し、飛び出すヘンリー。

ヘンリーを助けようと追うサム。

ここから、ニューヨークの街中を二人が追いつ追われつ、時空を超えた展開が始まる…。それは、まるで迷宮にさ迷い込んだ世界で、何が夢で、何が現実かまったく不明な、不可解な場面の連続…。

サムとヘンリーとライラ、そしてヘンリーの父親、恋人たちを巻き込みながら、更に迷宮空間の中に入り込んでいく…。

寸評

Stay1 「冒頭の交通事故は現実なんだろうなあ」という思いを頭上のタンコブのように観せられる、不可解映像満載の摩訶不思議空間劇場。

思わせぶりな伏線がいっぱい散りばめられていて、鑑賞者というより製作者が楽しんでいる感じを受ける。

エンデング・ロールは必見で、絶対最後まで席を立たずに観ることをお奨めする。その中にも「答え」が積み込まれているから。でも、これすらもありがちの手法で、ちょっとわざとらしい。

Stay3 よく解釈すれば、人の「生きたい」という願い・力は幻想を含めて命を繋ごうとするというメッセージか?

それと併行して、人は自分の死を受け入れる過程で現実とは違うことを自ら作り出し、死の恐れや逃れから受け入れる体勢をある意味擬似「麻薬」のような働きで、気持ちよく幸せに安らかにする能力を備えている、ということの映像化とも言える。

Stay10 ナオミ・ワッツ、デヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』で抜擢された経験からか、このような難解作品に出演することが楽しいのかな? 私的には、『キング・コング』などの分かりやすい作品や『21グラム』のは苦心の迫真の演技ワッツが好きである。

もちろん、今回の作品でもナオミ・ワッツがいたから退屈な中盤も睡魔に襲われることなく観られたわけでもあるけれど…。

このような作品を好む映画人もかなりいて、高い評価を与えている映画評も沢山見られるので、人それぞれの受け止め方があると思うが、私的には作成者の作為的企みの方が強く感じられ好みの作品とは言い難い。

隣の劇場『間宮兄弟』は、沢山の鑑賞者がいたけれど、この『STAY』は、公開4日目、夜の回ではあるけれど20数名の寂しい鑑賞者人数…。このことでも難解作品であることを表しているのかもしれない。

難解作品でも、『マルコビッチの穴』みたいにユニークで面白い作品もあるのになあ…。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*ユアン&ワッツが好きな人 →★★★★

*不可解/不思議空間が好きな人 → ★★★☆

*イリュージョン・スリラーが好きな人 → ★★★☆

*暇つぶし → ★★

*デート → ★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「劇場」 

       時空トリップやイリュージョン体感するのは、大画面がいいかな。

公式HP:   http://www.foxjapan.com/movies/stay/

鑑賞日 2006.6.6(月) 恵比寿ガーデンシネマ2

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2006年6月 5日 (月)

加藤登紀子 コンサート 6/4

加藤登紀子コンサート『聞かせてよ愛の言葉を』に、招待で行って来た。

Kato1 加藤登紀子さんというと、私にとっては往年の大歌手というイメージ。でも実際にあまり歌を聴いたことはない。

どちらかというと、「歌」というよりもその経歴、政治活動家(学生運動~)で夫(藤本敏夫)となった方との“獄中結婚”と、東大文学部在学中の才女が歌手になった、当時としては珍しいということと、芯の強い女性という印象が強い。(今でも、菊川玲さんが東大出身と、マスコミは取り上げるからそれほど事情というか世間感覚はあまり変わっていないのかもしれないが…)

現在も、アフガニスタンの援助活動などをされているようで(公演ではそのような話はしなかったけれど)、社会的意識の高い大人の女性として素晴らしいと思う。

その夫・藤本氏も近年(2002年)逝ってしまい…。

 藤本氏といえば、彼が行っていた「大地を守る会」という有機野菜等々を中心にした「思想」と「農業」の集合団体に、「編集」の仕事ができるからと学生時代の友人T君が就職したのを、このブログで追悼文を書いた恩師上杉先生が随分と心配していたことを思い出す。卒業後T君とはほとんど親交もないので、この加藤登紀子さんの公演に行くことになり、回想した。

今はどうしているのかな? T君。君とは反りが合わなかったけれど、T君と一緒にいたS君とは気が合いよく登山にも同行したね。人間関係とは摩訶不思議なもんだなあ…。

●プログラム 

<第1部>

*聞かせてよ愛の言葉を

*懐かしき恋人の歌

*帰り来ぬ青春

*時には昔の話を

*さくらんぼの実る頃

*美しき五月のパリ

*悲しき天使

*檸檬

*愛しかない時

(休憩)

<第2部>

*暗い日曜日

*枯葉

*忘却

*行かないで

*恋人が一輪の花をくれた

*愛の賛歌

*バラ色の人生

*恋の花ひらく時

*百万本のバラ

※※ アンコール 2

Kato4 会場は、私よりも年上のご婦人方やご夫婦が大半を占めていた。中には20代、30代の女性もちらほら見掛けられたけれど。小さな子供はほとんどいない。

歌唱力がある人なので、聴き応えのある曲目が続き、中でも「枯葉」と「百万本のバラ」は、秀逸だった。

たまには普段聴かない世界を垣間見るのも悪くはないなあ、と思った公演だった。

【 鑑賞日 】 2006.6.4(日) 大宮ソニックシティ 大ホール

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2006年6月 4日 (日)

■勝手な映画評(第25回) 『ジャスミンの花開く』

■ 勝手な映画評(第25回)  『ジャスミンの花開く』  ■

◎総合評価: 50 / 100

Zasu16 作品名: 『ジャスミンの花開く』(2004年/中国/129分)

監督: ホウ・ヨン

出演: チャン・ツィイー、ジョアン・チェン、チアン・ウェン、リィウ・イェ、他

分野: 悲恋/ドラマ

公開予定: 2006.6.17(土)

物語

Zasu19 1930年代から1980年代の上海を舞台に、三世代の娘(娘→その子→その養子)の恋/人生を描く、儚くて、切なくて、そして女性の弱さと強さで描く恋物語。

娘たちはそれぞれ、“ジャスミン”の中国名に準えて「茉(モー)」「莉(リー)」「花(ホア)」と名付けられる。

Zasu8 「茉(モー)」は、写真館の娘で映画鑑賞をしながら女優になることを夢見Zasu14 る女性。ある時、映画会社社長に見初められ女優の道が開かれたと思った矢先、社長の子を身ごもる。その子供が「莉(リー)」。

「莉(リー)」を産むことを選択したことを「茉(モー)」は母としての喜びを併せ持ちながら、「莉(リー)」さえ産まなければ…と深層に。

Zasu20 「莉(リー)」は、ブルジョワ階級。学校の唯一共産党員で凛々しい男性にZasu10 恋心。そして自らもうアタック! 彼と結婚し自分を労働者階級の暮らしにするが、馴染めない…。その生活の違いから逃げ出す、追う夫。

ある日、不妊症という事実を突きつけられる。養子をもらう決意。その養子が、「花(ホア)」。

Zasu21 「花(ホア)」は、彼が遠方の大学に行く前に結婚届けを祖母に内緒で出 Zasu18 してしまう。彼を信じきっていたが、若い彼はバカ男そのもの。離れた土地で別の女性を…。離婚する決意はあったが、「花(ホア)」のお腹には新しい生命が…。中絶か産むかを悩む「花(ホア)」。

シングルマザーへの道を決意する。

しかし、「花(ホア)」にも苦難が待ち受けていた…。

寸評

Zasu17 「チャン・ツィイーの、チャン・ツィイーによる、チャン・ツィイーのための」作品/映画である。3世代のそれぞれの娘の役をチャン・ツィイーが一人三役。チャン・ツィイーのファンにとってはたまらない作品だろう…。

しかし、それだけである。

この“三世代”を「追う/沿う」の作品、その構成は面白い作品が想定・創造できる設定である。

例えば、小説のパール・バックの『大地』やユン・チアンの『ワイルドスワン』などは、舞台も中国で構成も3代を追う構成で、こちらはどちらも秀作・名作で、今再読しても感動する作品だ。

Zasu9 これらに比べるとあまりに弱すぎる。もっと、もっといい作品にできたはずだ。チャン・ツィイーの女優としての才能を評価しているだけに、残念だ。チャン・ツィイーも、もっと体当たり的に濃厚な演技をすれば作品として昇華するのに、まだ清純派路線を片脚残した感じで、中途半端だ。

この役は、もっと妖艶でなければ引き締まらない。

Zasu12 中国の時代、時代の女性の意識変化を観られるのは面白いが、全編観ても、果たして女性の真理を表現している作品とは私は感じなかった。男視線が根底にあるように感じてどうもなあ。もっと女性は逞しく、賢く、優しく、強く、あるのが、どこの国の女性においても真理と私は思うので、この作品は、あまりにバカ男に翻弄されすぎる女性なので…?って感じ。

チャン・ツィイーは、もっと魅力的な女性を演じられる女優だと私は思うので、繰り返すが残念である。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*チャン・ツィイーのファン →★★★★

*悲恋の好きな人 → ★★★☆

*女性心理を読みながら観る → ★★☆

*暇つぶし → ★★

*デート → ★

● 「劇場」 VS DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「DVD」 

    大画面で観る必然性/必要を感じない。

公式HP: http://www.jasminewomen.jp/

鑑賞日 2006.6.1(木) ヤマハホール

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2006年6月 3日 (土)

■勝手な映画評(第24回) 『インサイドマン』

■ 勝手な映画評(第24回)  『インサイドマン』  ■

◎総合評価: 57 / 100

In21 作品名: 『インサイドマン』(2006年/米/128分)

監督: スパイク・リー

出演: デンゼル・ワシントン、クライブ・オーウェン、ジョディ・フォスター、他

分野: サスペンス

公開予定: 2006.6.10(土)

物語

In12 マンハッタン信託銀行に、突如4名のペンキ屋が押しかけ占拠し、人質50人を盾に銀行強盗の完全犯罪が!!

人質たち全員に犯人と同じ衣装をさせる。

現場に、敏腕刑事のフレイジャー(デンゼル・ワシントン)を派遣。犯人グループリーダーのダルトン(クライブ・オーウェン)との、知恵比べ、心理作戦が始まる。

しかし、ダルトンは一つも二つも捜査官たちの上を行く、考えに考え、完璧とも思える徹底した計画だった。

In11 さらに、話を複雑にするのが、被害銀行の会長ケイスの隠された秘密。それをめぐって雇われるネゴシエイターが弁護士ホワイト(ジョディ・フォスター)。彼女の存在が、事件に新展開をもたらす。

犯人、捜査官、交渉人の、それぞれの立場や企て・思いが紡ぎ出すことで単なる「銀行強盗」ではない、この事件の深層・真相をだんだんとえぐっていく。

In16 果たして、50人の人質たちの命は? 犯行はこのまま成功するのか? 隠された会長の秘密は暴かれるのか? その鍵は、犯人、捜査官、交渉人の3人が、それぞれ別々の鍵を握っている…。

寸評)  

In15 スパイク・リー作品らしくない、と思う人もいるだろう。いやいや、スパイク・リーらしさは十分あるさ、と思う人もいると思う。

ある評では、「ハリウッドに魂を売った」と酷評しているものもあるけれど、そこまで言うのは可哀想。

In14 冒頭の銀行強盗の場面は、張り詰めた緊張感が万遍に表現され、観る者を画面に釘付けにする。途中までの展開はいろいろ工夫があり、パズルを解くような感覚もあり面白いのだが、中弛みがあり、2時間越えるのは少々疲れる。もっと編集しいらない部分をカットしてすっきりした方が、作品全体を高めたと思う。

In18 3人の豪華キャストを集めての作品だからこそ、それぞれに気遣いしながら創らなければならなかったろうし、それぞれの特性はよく捉えて使っていたと思う。少し、デンゼル・ワシントンがはしゃぎ過ぎみたいな感じもあるけれど、ジョディとオーウェンはよく特徴を押さえてのなかなかの起用だった。特にオーエンがかっこいい!役柄も彼の役が一番美味しいしなあ。それを見事に演じていたと思う。

In20 脚本が、観るものを如何にラスト驚かしてみせようと懲りすぎた感も拭えないけれど、それはそれで、まあ楽しめる。

でも、もっと大々的などんでん返しかと思っていたので、アレ?っ、これで終わっちゃうの?? もう少し驚かしてよ!というのも正直な思い。

In19 でもでも、この主キャストたち、大好きな俳優の共演・競演は楽しめる。特に、大ファンのジョディの出番は少ないけれど、彼女の凛々しさがリンとして出ているところは素晴らしい。それだけでも私的にはOKかな!?(笑)

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*とにかくスパイク・リー作品のファン →★★★★

3人の主キャスト中、1人でもファンなら → ★★★★

*頭を使う作品が好きな人 → ★★★☆

*どんでん返しが好きな人 → ★★★☆

*デート → ★★☆

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN: 「劇場」 

    ほんとは引き分けでもいいけれど、スターの揃った作品、

        やっぱり大画面で彼らに会った方が映画を楽しめるかなと。

公式HP: http://www.insideman.jp/index.php

鑑賞日 2006.6.2(金) 九段会館

In10

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