2007年2月 2日 (金)

■勝手な映画評(第43回) 『墨攻』

この作品に入る前に、最近観た映画から、『幸せのちから』は、題名を変えた方がいいと感じた。『お金のちから』と。

『モンスターハウス』は、悲しすぎる話だ。これを子どもに観せてどうするのだろう? 人間の心の醜さを表現するならば大人向けに創る作品だ(巨大女性への愛情があるならば、こんなストーリーにしてはいけないと思う。「愛」に対する価値観の相違を痛感した。スピルバーグの創造性にはやはり違和感を受けてしまう。彼の作品群を観ていると、彼の根底には「悲しみに満ちているものがあるのかもしれない」と思わずにいられない)。

■ 勝手な映画評(第43回)  『墨攻』  ■

◎総合評価:  60/ 100

Bokkou1 作品名: 『墨攻(ぼっこう)』 2006年/ 中国・日本・香港・韓国 / 133分』

監督・脚本: ジェイコブ・チャン 

出演: アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ワン・チーウェン、ファン・ビンビン、他

分野: ヒストリー/戦争

公開予定: 2007.2.3(土)より

物語

Bokkou2 荒れ狂う戦乱(中国の戦国時代)の世に、侵略を否定し、攻撃せずに守り抜く「非攻(ひこう)」を掲げる「墨家(ぼっか)」という集団がいた。それは墨子により創設された「墨家十論」という思想が基盤であった。

大国である趙(ちょう)と燕(えん)の国境に位置した小国の梁(りょう)は10万の趙国の大軍に侵略されようとしていた。梁は生き延びる望みを墨家に託し援軍を依頼する。しかし、現れた墨家の援軍は、革離(かくり)ただ一人。

Bokkou5 革離は、梁城のわずかの兵隊/農民ら老若男女たちを総動員し、城を守る「策」を提案する。

10万の大軍にどう対峙し、城そして梁の民を守るか、その秘策は「墨家」としてのプライドをかけ、見返りを求めず、命をかけて戦う。その姿は、一人の英雄を作り出そうとしていた。

この戦いは、墨家の革離と、趙の大軍を任された略士、巷淹中との戦略能力の優劣で決まる戦い、心理戦でもあった。

Bokkou10 革離の思惑通り戦いは進むが、革離の敵は趙の大軍だけではなかった。人間の権力欲、嫉妬、恐れ、その闇の力こそ気付かぬうちに革離の下に迫ろうとしていた。反面、革離を信望し、人間の生き方、その思想に共鳴し彼に忠誠を持つ者たちも大きな力となって…。

寸評

Bokkou11 墨家十論の中の「非攻」と「兼愛」をクローズアップした作品作り。

「非攻」は、侵略と併合は人類への犯罪。「兼愛」は、自分を愛するように他人を愛せ。

どう考えても、戦乱の世に合わない思想かもしれない。しかし、戦乱/混乱の世だからこそ、一方、理想を求めるベクトルが大きく向かうのかもしれない。

多くの世界宗教での「博愛」や「平和」を希求する流れにも通じるものがあるが、歴史的及び現況を観ても、宗教の根本教えに「愛」「平和」等々あげながら、その多くは戦争の歴史を持っている。キリスト教しかり、イスラム教しかり、仏教しかり、ユダヤ教しかり…。

Bokkou9 この墨家集団、秦の時代に突如姿を消してしまったという。この史実の方が、何故かととても気になってくる。歴史、つまり人間がつくるものには「崇高な」ものはどうも時の「権力」と対峙し、けして勝つことがないのだろうか?

21世紀の現在を観ても、国の為政者たちのどれをとっても「崇高さ」には程遠い人たちばかりであるように感じる。

Bokkou7 さて、映画である。この作品は、「男」の生き方をつぶさに見つめつつ、戦乱の世で栄衰する姿を「墨家」という、ある意味特殊な生き方から覗いてている作品である。

中国などの歴史のとても長い国には、その歴史から消された、あるいは忘れ去られたものが数多くあることを感じることができる。

歴史書などはどこも「勝者」が正史として編纂していくので、本当の姿からは歪んでいるところが多々あるのだろうな、と思う。

日本でも『日本書紀』などははっきりとその傾向があるものだし。

蝦夷とか、卑弥呼とか、何故、このような漢字を使用されているのかを考えていくと、権力者側の意図に通じるものなのかもしれない。当時、彼らは違う表現で自らを表現していたと思うのだ。

映画は、人間の機知や厭味など「人間」とはこういうものだという観点でそれぞれの人たちの行動を分かりやすく描いている。そして、けしてハリウッドではこういうラストはないという終わり方も、アジアらしいと感じた。

余談だか、「墨家(ぼっか)」という音の響きで、「歩荷(ぼっか)」と読んでいた山岳部でのリュックに砂を満杯に詰め込んで丹沢の尾根登り(急勾配)をする訓練(大嫌いだった…、笑)、「歩荷山行」を思い出してしまった…。

この作品も、ハラハラ、ドキドキ、結構疲労しますよ。(笑)

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*アンディ・ラウのファン → ★★★★☆

*歴史ものスペクタルが好きな人 → ★★★☆

*戦略の機微に興味がある人 → ★★★☆

*暇つぶし →★★★

*デート → ★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

     WIN:「劇場」

映像のすごさは大画面でしか伝わらない。

公式HP: www.bokkou.jp

鑑賞日 2007.1.29(月)  特別試写会 有楽町朝日ホール

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2007年1月28日 (日)

■勝手な映画評(第42回) 『世界最速のインディアン』

映画鑑賞もしているけれど、なかなか映画評を書けないでいる…。

『それでもボクはやってない』(周防監督)は、なかなかの秀作であった。映画評ではないけれど、鑑賞後それに絡めてコラムを書いたので、もう一つのブログ(トムとジャッキーの言いたい放題)を時間がある方は読んでください。

■ 勝手な映画評(第42回) 『世界最速のインディアン』

◎総合評価: 60/ 100

4210 作品名: 『世界最速のインディアン』(2005年 /ニュージーランド、アメリカ/ 127分)

監督/脚本: ロジャー・ドナルドソン 

出演: アンソニー・ホプキンス、他

分野: ヒューマンドラマ

公開予定: 2007.2.3(土)

物語

424 ニュージーランドの片田舎に住む63歳のバート・マンローは、夢を追い続ける男だった。彼は21歳の時に出合った「インディアン」という名のバイクに心を奪われていた。

1920年型中古のバイク「インディアン・スカウト」。彼は、40年以上に渡って改良に改良を加え(お金がないのでバイク部品ではなく、日常品を工夫し使用する)、「夢」は、インディアンに乗って世界大会の中でも名高いアメリカボンヌヴィル大会(ライダーの聖地アメリカのボンヌヴィル塩平原)に出場し、「世界最速(1000cc以下)」を記録すること。

425 ユニークな彼には、沢山応援する友人たちがいたが、誰もその達成は信じていない。何しろ、速度計もついていないオンボロバイクである。老人を慕う隣家の少年(アーロン・マーフィー)ただ一人は、彼の成功を信じて疑わなかった。

大会会場に行けば(大会出場手続きもせずに)出場できると思い込んでいた彼の無鉄砲なレース参加への旅が今、始まろうとしている。

寸評

422 60歳を超えてもライダーとしての夢を追い続けた実在の人物、バート・マンローをモデルに作られたヒューマンドラマ。

監督ロジャー・ドナルドソンが、バートと出会ったのは1971年で初めはテレビ・ドキュメンタリーとして彼を紹介した。その後なんと34年の時を経て脚本を書き映画化したという。監督ロジャーは、オーストラリア生まれニュージーランド育ちというからとてもニュージーランドに愛情があるのだろう。

全くの予備知識なく、題名が「インディアン」だから、ネイティブアメリカンのヒューマンドラマかと思っていた(恥ずかしい)。しかし、彼のロードの中でインディアンに出会いその世界へとの関わりに触れる場面もあるので、全くの的外れではない。そのインディアンには、ストーンパワーのネックレスをお守りとして貰うし、インディアンの薬(何かは観てのお楽しみ)を貰ったりもする。

バート・マンローは周りの人たちを時にハチャメチャに、時にフレンドリーに、時に幸せにさせる人間性をユーモラスに描く。

ただ、ちょっと違う見方をすれば「偏屈オヤジ」と紙一重。それでも愛すべきキャラになるのは「ユーモア」が豊富であり、まっすぐであり、人として正直な人物だからだろう。それで老いても女性にモテるのだ。

426

彼はレースに出場し続け、68歳の時に出した自己最高記録は、いまだ破られていないという、伝説の男になった。

老人になっても、夢を追いかける人生があってもいい、それを感じさせる作品である。ただし、そのためには周りの理解がとても必要なことも痛感するけれど…。

彼を、アンソニー・ホプキンスがうまく演じていて、これは彼の代表作の一つになるかもしれない(『羊たちの沈黙』は超えられないけれど)。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*アンソニー・ホプキンスのファン → ★★★★

*ヒューマンドラマで感動したい人 → ★★★☆

*デート → ★★★

*暇つぶし  → ★★☆

*ロードムービーが嫌いな人→ ★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

    WIN:「劇場」

   DVDでも十分楽しめるけれど、人間の機微の演技をアンソニー・ホプキンスが顔の表情で描いているのは大画面で観たいところだ。

公式HP:  http://sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/

鑑賞日 2007.1.25(木) 特別試写会(九段会館)

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2007年1月10日 (水)

■勝手な映画評(第41回) 『悪夢探偵』

■ 勝手な映画評(第41回)  『悪夢探偵』  ■

◎総合評価:  40 / 100

Akumu2作品名: 『悪夢探偵』 2006年/ 日本 / 106分』

監督・脚本・出演: 塚本晋也 

出演: 松田龍平、hitomi、安藤政信、大杉蓮、他

分野: ホラー

公開予定: 2007.1.13(土)より  PG-12

物語

Akumu10 エリート女性刑事/霧島(hitomi)が担当した無惨な殺人事件。その事件Akumu7 の謎を解く鍵は“夢の中”にあり、夢の中にこそ犯人がいると踏んだ霧島は、他人の夢の中に入れる特殊な能力を持った“悪夢探偵”と呼ばれる影沼京一(松田龍平)の存在を知り、犯人と対決するべく協力を求めるが…。

寸評

Akumu11 塚本晋也監督の長編第10作目。

2006年第1回ローマ国際映画祭コンペティション部門出品作品。

2006年第1回釜山国際映画祭特別招待作品。

Akumu12 監督、キャスト舞台挨拶と映画ラストソングを担当したフジファブリックというバンドのライブ付の先行上映(有料3150円)に招待で行って来た。

マスコミもかなり来ていて、上映前イベントが1時間くらいあって(本物の神主による(新宿氷川神社)悪夢清めのお払いまであった…)、配給側の意気込みは感じられたが…。

Akumu9 歌手としてのhitomiは好きなので、hitomiさんを観に行ったと思えばいいか、と思えるくらい映画は私的にはあまり楽しめるものではなかった。

まあ、ホラー映画が好きではないので、血潮満載の映像は観ていて気分のいいものではない。

この作品、50ケ国から上映のオファーがあると監督が言われていた。そしてシリーズ化が決定しているという。そんなレベルの作品には全然思えなかったな。ホラー劇画が好きな人にはそれなりに楽しめるのだろうが、如何にもこじつけ的な、過去の記憶が「根」になっているのだけれど、その深層背景を説明していないので感情移入ができない。

そして、監督・脚本の塚本氏自身が作品の「キーマン」となって出演しているのが、観ていて困るくらいの出演振り。はっきり言うと制作者の「自己満足作品」であり、エンターテイメントになりきれていないし、何故「映画に?」と感じさせるばかり。

Akumu6 人間に対するネガティブ部分が多すぎて、う~ん、好きになれないな。

まあ、私的相性の問題なのかもしれないけれども。

深層心理とか、哲学的なことを装っているのだけれど、あまりに薄っぺらで「生と死」を見つめる作品としての昇華が出し切れず、単なるホラー活劇で終わっている。

渋谷公会堂がリニューアルされ名称も新たに「渋谷C.C.Lemonホール」となった会場に初めて入った。ホール全体も座席もロビーもトイレも綺麗になって、ホール環境はとてもいい感じになったことを知ったのは収穫だった。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*キャスト陣のファン → ★★★☆

*塚本作品の好きな人 → ★★★☆

*残虐映像を楽しみたい人 → ★★★

*デート → ★

*ホラーが好きではない人 → ★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

     WIN:「DVD

劇場で観る必要を感じない。

公式HP: www.akumu-tantei.com

鑑賞日 2007.1.9(火)  渋谷C.C.Lemonホール

           舞台挨拶付プレミア試写会

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2006年12月 2日 (土)

■勝手な映画評(第40回) 『スキャナー ダークリー』

■ 勝手な映画評(第40回) 『 スキャナー ダークリー 』  

◎総合評価: 45 / 100

Kianu4作品名: 『スキャナー ダークリー』(2006年/アメリカ/101分)

監督: リチャード・リンクレイター

原作: フリィップ・K・ディック

出演: キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニー・Jr、他

分野: 社会派/新感覚アニメーション

公開予定: 2006.12.9(土)

物語

Kianu2 「ドラッグD」に汚染されきった近未来のアメリカを舞台に、覆面麻薬捜査官ボブ(キアヌ・リーブス)も、捜査過程で自身も重度ドラッグD中毒になり現実と妄想世界が入り混じる世界が描かれる。

Kianu5 誰もがスキャナーで監視されている社会。そこに物質Dと言われる最悪のドラックが蔓延していた。覆面麻薬捜査官ボブは、その売人に関わるグループの中に侵入しそのボス的存在。しかし、…。

寸評

Kianu3 SF作家フィリップ・K・ディックのベストセラー小説を『スクール・オブ・ライフ』のリチャード・リンクレイターが映画化。

著書『スキャナー ダークリー』は、本国アメリカでは出版されてから27年間ずっとベストセラーの人気本という。

ドラック中毒社会を、ある意味痛烈に批判し、しかし本命と言うか、作者の意図はそのドラッグ中毒を媒体にし、「一般人を企業(表で中毒者医療施設、裏でドラッグ生産)が利用する姿」と「国家が一般人を徹底管理する監視社会」を告発していることにある。

この着目点、なかなか面白いけれど、全般実写に似せたアニメーション(新感覚との触れ込み)で全編を表現していくのは、やはり違和感がある。実写とCG映像を組み合わせる普通の制作をした方がいいのでは?とすら思った。

Kianu1 キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーが大好きなので期待して観たのだけれど、完全に期待は裏切られた…。実生活で災難続きのウィノナ・ライダーの久々の作品なので、もっといい絵にしてほしかったという私的思い入れがあったのも確かだが。

社会派として、重厚なテーマを扱っているし、ストーリーの扱い方によってもっと面白くできるのに、失敗している。

試写会場がワーナーの会社内試写室(ここの試写室は定員60名くらいかな?座席もゆったりしていてスクリーンも大きく観やすい)に行くだけも価値があるので…、今回で3回目。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*新感覚映像を体験したい → ★★★★

*重厚な社会派映画が好き → ★★★☆

*暇つぶし → ★★

*デート  → ★★

*鑑賞後楽しい気分になりたい人 → ★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

WIN:「DVD

製作過程とかがわかったりするのではないかと。

公式HP: http://wwws.warnerbros.co.jp/ascannerdarkly/

※日本公式サイトから行ける米公式サイトはよくできているので、この作品のイメージがよく分かります!

鑑賞日 2006.12.1(金)ワーナーブラザーズ社内試写室

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2006年11月 7日 (火)

■勝手な映画評(第39回) 『プラダを着た悪魔』

勝手な映画評(第39回)   『プラダを着た悪魔』  

 

◎総合評価: 75/ 100

Akuma7 作品名: 『プラダを着た悪魔』(2006年/ 米国 / 110分)

監督: デビィット・フランケル

出演: メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ、スタンリー・トゥッチ、他

分野: ヒューマン・ドラマ/ラブ・ストーリー/ファッション

公開予定: 20061118日(土)より

物語

Akuma20 有名大学卒業後、アンディ(アン・ハサウェイ)はジャーナリストを志しNYにやって来たが、なかなか就職先が決まらない。

Akuma4 全くオシャレに興味のない彼女が、無知による無謀さで一流ファッション誌『ランウェイ』の採用面接を受ける。ところが、いつもと違う人材と見込まれ“超カリスマ”編集長ミランダ(メリル・ストリープ)の決定で、ジュニア・アシスタントの仕事を手に入れる。

Akuma11 しかし、その日からアンディの悪夢?!が始まる。朝から24時間公・私の区別なく携帯が鳴り続ける、ミランダをサポートする日々が始まったのだ。

Akuma3_1 編集部は、ブランドの服、鞄、アクセサリー…、ブランドフAkuma13 ァッションで身を固めた人々が、ミランダを頂点とするヒエラルヒー/独裁編集者の支配する世界だった。「口答え」は、解雇に繋がり、無理難題の命令をそつなくこなさなければ生き残れない、苛酷な戦場。しかし傍目には、世界の女性が憧れる仕事場なのだ。

Akuma14 

その生活は、恋人や親友たちの関係をも破壊していく…。

寸評

Akuma5 働く女性に向けた映画ではあるのだけれど、男性が観ても十分楽しめる。

脚本/設定/キャスト/音楽…、それぞれがよくできていて全編飽きることなくストーリー展開を楽しめる作品だ。

Akuma15 原作は、20034月、20代の新人女性作家ローレン・ワイズバーガーが書いたベストセラー『プラダを着た悪魔』。作者は、ヴォーグ誌の女性編集長のアシスタントをつとめた経験を持つ。つまり、作者自身の実体験が多分に反映されているわけだ。

デヴィッド・フランケル監督は、世界中で社会現象を巻き起こした『セックス・アンド・ザ・シティ』を手がけた人。人の心理を突く方法を心得ている。

衣装担当が、同『セックス・アンド・ザ・シティ』でエミー賞のパトリシア・フィールドと敏腕揃い。

Akuma2 最先端のファッション・ビジネス業界の厳しさも分かり易く表現されているし、仕事上の人間関係の冷酷さ/温かさ、プライベートとのバランス/アンバランス、様々な人間模様があって面白い。シリアス&コメディチックを適度に配分し、観る者を作品世界へ引き込んでいく。

Akuma19 プラダ、シャネル、エルメス、ヴァレンチノ、ドルチェ&ガッバーナ、ガリアーノなど、衣装の数々の映像でワクワクさせる。“可愛い”アンディが、“美しく華麗な”アンディに変身する様が一つの見所。

もう一つの見所は、ファッション業界の現状を臨場感たっぷりに垣間見られて、楽しめる。

さらに、音楽がまたいい。マドンナ、U2、アラニス・モリセット等々の顔ぶれが、聴き馴染みのヒット曲で作品を盛り上げる。

Akuma21 女性への応援歌的作品だけれど、もともとアンディはブランドファッションにうとかったけれど、頭脳明晰な人だったからこそ乗りきったということは言えるので、誰もがアンディになれるわけじゃないけれどね。

イケメン編集者(男性)が「ミランダって悪魔なんだろ?」との問いに、仕事が分かってきたアンディが「ミランダが、もし男性ならば悪魔なんて呼ばれないで、仕事のできる人と言われるわ!」という返しは痛快だった。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*ブランド・ファッションが好きな人 →★★★★

*現在/過去に上司を持つ仕事をした女性 →★★★★

2人の主役のファン →★★★★

*デート →★★★☆

*暇つぶし → ★★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

 華麗なファッション、、アン・ハサウェイのこぼれるような瞳は大画面で!

公式HP: http://movies.foxjapan.com/devilwearsprada/

鑑賞日 2006.11.6(月) 東京厚生年金会館(特別試写会)

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2006年10月18日 (水)

■勝手な映画評(第38回) 『ウィンター・ソング』

■ 勝手な映画評(第38回)   『ウィンター・ソング』  

◎総合評価:    45/ 100

W2 作品名: 『ウィンター・ソング』(2005年/ 香港 / 109分)

監督: ピーター・チャン

出演: 金城武、ジョウ・シュン、ジャッキー・チュン、チ・ジニ、他

分野: ラブ・ストーリー

公開予定: 20061111日(土)より

物語

W7 映画監督を目指す見東(金城武)と女優を夢見る貧しい娘の孫納(ジョウ・シュン)、2人はまだ若く希望に燃えていた。

出逢った場所は、飲食店。そこで見東が目にしたのは、麺に貪りつく孫納。2人は見東の部屋で暮すことになる。

見東は、無垢で純真な“愛”を孫納に感じていた。しかし、孫納は自分の夢を叶えるために呆気なく見東を捨てる。

「人は誰でも、自分が一番可愛いの!」という捨て科白と一緒に…。

それは、見東にとっては永遠に冬が続くかのように、その時から世界が止まってしまったように辛い日々が…。

W4 それから10年。映画俳優になった見東と、女優の夢を実現した孫納が、上海で「同じ作品」に出演することになり、運命の再会が!

しかし、2人に、大きく壁のようにそそり立つ障害的存在の映画監督は、今、孫納の周知の恋人であり、監督/俳優/女優と3人が同じ作品の制作過程で、ぶつかり合っていくことになる。

そして、この出逢いは見東の“ある魂胆”が秘められていた。10年間かけた執念の復讐愛が爆発寸前であることを、まだ孫納は知らない…。

見東も自分の構成した展開から、思わぬ展開へと自らを邁進させる結果になること、それをまだ知らない…。

寸評

W8_1 ピーター・チャン監督が、約10年ぶりに長篇を手がけたラブ・ストーリー。

W6 風変わりな映画である。

何かで観た覚えのある作風…、そうだユアン・マクレガー、ニコール・キッドマン主演の『ムーラン・ルージュ』だ。突然歌い出す、舞台が回る、回想シーンに飛ぶ、そして現実に戻る、撮影シーンになる、歌う、カットの声、そしてまた現実に戻る…。ある意味、めまぐるしい。

ひとつのプロモーション・ビデオな感覚で観るのならば、まあ面白い作風かも知れない。しかし映画作品として観る場合はいかがなものか…。すでに公開されたアジア各国では大ヒットを記録、とチラシには書かれているけれど。

愛した女に裏切られた、10年の月日をかけた女々しい復讐劇(「男々しい」と書いて「めめしい」と読んだ方がいいけれど)が、見東の回想シーンと共に展開していく。

W5 自分勝手な3人が、それぞれ33様、自分勝手な思いのままにならないことで、悩み、苦しみ、落ちていく様の中途半端なミュージカル仕立てを観せられる。

ラストに向けて、自分勝手な3人が、それぞれ「自分のこと」ではなく、「相手のこと」を思うことができるようになったという成長(?)ストーリーとも言えなくもないが、薄っぺらいなあー。

W3 でも、巷にはそういう薄っぺらい恋愛が蔓延しているから、そういう人達には「美しい物語」に感じるのだろうか? 何処かのお偉いさんが「美しい国へ」と言っているように。皮肉ぽっい?(笑)

まあ、「貴方は自分が一番可愛いのでしょ」的な批判は、誰もが若い時に言われたことがある科白かもしれないな…。

私は言われたこと……、よく言う「ご想像にお任せします」と、トムの台本には書いてある。(笑)

そうそう、映画監督を目指していた見東はいつの間に大金持ちの「人気俳優」になったのだろう。その過程/展開あったのかな? もしあったならば、途中寝ていたのかもしれない…。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*金城武のファンの人 →★★★★

*ラブ・ストーリーで悲恋が好きな人 →★★★☆

*デート →★★★

*暇つぶし → ★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

  映像的には綺麗なシーンもあるので。

公式HP: http://www.winter-song.jp/

鑑賞日 2006.10.16(月) よみうりホール(特別試写会)

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2006年10月13日 (金)

■勝手な映画評(第37回) 『手紙』

■ 勝手な映画評(第37回)   『手紙』  

◎総合評価:    50/ 100

Tegami1 作品名: 『手紙』(2006年/ 日本 / 121分)

監督: 生野慈朗

原作: 東野圭吾

出演: 山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵、他

分野: 社会派/ラブ・ストーリー

公開予定: 2006113日(金・祝)より

物語

Tegami2 親のいない貧しい兄弟2人、弟/直貴(山田孝之)と兄/剛志(玉山鉄二)。剛志は家計のため運送会社で働くが過度の重労働で腰を痛めてしまう。それでも大学受験を間近にした優秀な弟を気遣いお金の工面を図るが、それは強盗という手段…、押し入った留守宅に帰宅した家人(老婆)とはち合わせてしまい誤って殺してしまう。捕まって、服役中(無期刑)の身となる。

直貴は兄の存在から隠れるように暮らし、誰とも打ち解けない。人殺しの兄がいることが判明するごとに住んでいられなくなり数度にわたる引越しと転職を繰り返していた。兄との繋がりは「手紙」のやりとりだけ。

直貴の夢は、中学時代からの親友とコンビでお笑い芸人になること。しかし、人殺しの兄の影に脅かされ、それから逃げ続ける直貴は、兄との手紙も兄から来ることが中心になっていく。

お笑い芸人として成功し、社長令嬢と結婚を前提とした出逢いもあったが、直貴は一人っ子とウソをついていて、…調べられ服役中の兄の存在もバレ、コンビも解消し、再び転げるように運が落ちていく…。

その落ちぶれた直貴を前の職場の頃からずっと一途に愛し続けていた女性/白石由美子(沢尻エリカ)は、「逃げる人生はやめて、私達で立ち向かって生きていきたい」との思いを告げる。彼女自身も親の多重借金地獄から逃げ惑う半生だったのだ。

そして由美子は、直貴が絶っていた兄への手紙を、直貴になりすまして代筆し出し続けていた。兄弟の絆を守るために…。

代筆していた事実、由美子からの自分への本当の愛を知り、直貴は由美子と結婚し子供に恵まれる。そして自分の家族を守るため、兄と本当に絶縁しようと決意し、最後の手紙を兄へ出す…。

寸評

Tegami3 20012年、毎日新聞日曜版で連載された東野圭吾のロングセラー小説を映画化。殺人者の兄のせいで、人生を狂わされる弟の受難の日々を追う重厚な社会派人間ドラマ。

「罪を犯すとはどういうことか、刑罰とは何なのか、真の更生とは-。そんなことを考えながら書きました」という原作者の言葉が添えられている。

犯罪加害者の身内からの視線を体現化したものである。

映画が終わると試写会場には、泣きはらした女性の顔がたくさん。

映画評も好意的なものが多い。しかしながら、私的には物足りなさと、ちょっと違わないか?という思いでやりきれなかった。

後半、直貴が勤める会社会長の「差別のない国を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ」という言葉は、現実から逃げるな、という重みはあり説得力はあるのだけれど…。

Tegami4 まず、観終えて感じたことは、「冷たい世間の風との闘い」を表現した作品と感じた。

どうも納得がいかないのが、そんな世間から逃げる主人公が選ぶ夢が「お笑い芸人」ということと、引越を繰り返しているはずなのにコンビの相手が幼なじみで、冒頭「お前、今度で何度目の引越だっけ?」という科白がある。3度目の引越で何故、幼なじみが職場の近所にいるんだ?

兄の影から逃げたいのに、何故テレビに出演し有名人になることを目指すのか?有名になったら身内のことは調べられるに決まっているのに?等々、臨場感/現実感からかけ離れている設定に疑問符がいっぱい??

殺人者の兄を持つ主人公をあくまでも世間は受け入れようとしない設定だが、本当にそこまで加害者本人でない者を排除するだろうか?という疑問もある。それに、何故、兄が強盗を働いたかの原因は自分にもあるのだ。学費がないならば、奨学制度を目指したり、通信制だって方法はある。「大学受験/学費」のために強盗というのは安易過ぎないか?

私(トム)自身、大学は奨学生だったし、学友にも親の会社の倒産で経済的障害を抱えながら学んでいた者(女性)もいたし(立派に卒業し仕事にもつき、今は3人の子持ち)、もっと苛酷な状況で社会に出ていった知人もいる。

しかしながら、「加害者の身内」の問題を題材にした点は評価できる。

現実に、例えば「オウム事件」松本死刑囚の家族の問題を、今日本社会は抱えている。

松本死刑囚(当時は被告)の3女が大学進学で受験し合格したのに入学拒否され、裁判沙汰になったことは記憶に新しい。まず和光大学などが入学拒否をした。そして文教大も同様に拒否をしたが裁判判例(地位保全を求める仮処分申請で、「入学許可の取消を認める特別な事情や正当な理由があると考えることはできない」)を受け、入学させた。その時の副学長(当時)が、私の恩師上杉先生である。

新聞記事には、当時(2004年)の状況をこう説明している。

*彼女の存在が分かると入学者が減少する懸念。

*社会の「オウム」に対しての反感の強さ。

*教員採用試験や就職への影響。

*支援し寄付金を出してくれている父母会の反発。

*サリン事件の被害者も多い地域。

*マスコミが押し寄せる懸念。

等々、よって入学拒否をすべきであるという声が強かった。このような状況での恩師上杉副学長(当時)の答えが下記である。

新聞記者とのインタビュー、長いので以下一部だけの「抜粋」とする。↓

「私学であっても大学は公な教育の場であるということも理解している。しかし理念だけでは食べていけない。応援してくれる父母や受験生が減っていけばやっていけなくなる。「オウム事件=サリン事件」というイメージは、社会的にまだぬぐわれていない。いまも数人の教員は入学許可に不満を抱いている。だから、受け入れを決めた時、教授会の全員で「建学の精神(人間愛、命の尊厳)にのっとって人格形成に努める」と決議した。みんなの気持ちを統一しないと受け入れられない」

「受け入れた以上、立派に育てる義務が我々にはある。人間形成ができなければ、私学の存在意義はない。できるだけ彼女の喜びと悲しみに沿ってやっていきたい」

最近、松本死刑囚の4女の後見人に、オウム事件を追っていたジャーナリスト江川紹子さんが申し出を受け後見人を引き受けた。彼女は事件の被害者坂本堤弁護士の知人である。

日本社会が、犯罪加害者の身内をどう受け入れるか、の問題は現実にしっかり考えなければいけないことであることは確かなことであり、「犯罪者」自身にどう罪を償わせるかを考えると同時に、加害者家族/身内を社会がどう受け入れていくべきか、それを支える仕組み/システムを構築することは必要であることは明白である。

もちろん、犯罪被害者/家族をどう支えていくかの仕組み/システムも「公」「私」の区分はあるが、それぞれに対応すべく社会構築は急務である。

これは、「日本社会&世間」の度量と良識が試される問題であると思っている。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*人間ドラマ/ラブ・ストーリーが好きな人 →★★★★

*人間社会の冷たさ/温かさを考えたい人 →★★★★

*キャスト陣に好きな人がいるファン →★★★☆

*原作と映画化の比較をしたい人 → ★★★☆

*デート → ★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

  心理描写がキーなので、大画面からの方が拾いやすいかも。

公式HP:  http://www.tegami-movie.jp/

鑑賞日 2006.10.10(火) よみうりホール(特別試写会)

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2006年10月10日 (火)

■勝手な映画評(第36回) 『トリスタンとイゾルデ』

■ 勝手な映画評(第36回)   『トリスタンとイゾルデ』  

◎総合評価:    55/ 100

Toli11 作品名: 『トリスタンとイゾルデ』(2005年/ 米 / 122分)

監督: ケヴィンレイノルズ

製作総指揮:リドリー・スコット、トニー・スコット

出演: ジェームズ・フランコ、ソフィア・マイルズ、他

分野: ヒストリー/ラブ・ストーリー

公開予定: 20061021日(土)より

物語

Toli2 舞台は、暗黒時代のイギリス。当地を支配していたローマ帝国が崩壊し、荒れ果てた国土の土着部族たちは、強大なアイルランド王の権力下にあった。

Toli5 アイルランドに対抗するため密かにタンタロン城で、領主アラゴンの呼びかけで、同盟の締結の会合がもたれることになった。アラゴンは、マーク候(ルーファス・シーウェル)を王とした統一国家の建設を提案。ところが、同盟締結を目前にして、アイルランドの軍隊が乱入。アラゴンは夫人もろとも殺され、彼の幼い息子トリスタン(トーマス・サングスター)をかばったマークも、片方の手を失う重傷を負う。

イギリス統一の悲願は果たされず、失意の中マークは、孤児となったトリスタンを連れて故郷のコーンウォールへ戻る。

Toli4 9年後。マークの手で大切に育てられたトリスタン(ジェームズ・フランコ)は、立派な若者に成長した。

Toli8 アイルランドの武将モーホルトが率いる小隊が攻め入るのと闘うトリスタンは、モーホルトを倒す。だが、モーホルトの剣には毒が塗ってあり、死んだと思われ海へと葬られる。瀕死のトリスタンは、敵地アイルランドの海岸に流れ着く。彼を発見したのはアイルランド王の娘イゾルデ、ここに運命の出逢いが! 名を偽りながらイゾルデは彼を匿って助け故郷イギリスへ逃がす。2人の事情を知らないア

イルランド王はイギリスのマークとイゾルデの政略結婚を図る。

Toli10 トリスタンは上位のマークへの忠義とイゾルデへの愛との狭間で苦しむが、トリスタンとイゾルデは密会を繰り返す関係になる…。

寸評

Toli6 起源は1500年前のケルトの説話であり、12世紀の中世フランスで物語としてまとめられた。まもなくドイツにも伝えられたというこの『トリスタンとイゾルデ』または 『トリスタン物語』 は、宮廷詩人たちが広く語り伝えた恋愛物語。

これを基に、シェイクスピアは恋愛悲劇の『ロミオとジュリエット』を執筆。1ワーグナーが、『トリスタンとイゾルデ』 (Tristan und Isolde)三幕の舞台音楽で、1857年から1859年にかけて作曲しオペラを誕生させた。

Toli1 今回は、その基になった説話を大胆な脚本編成で映画化。

オペラや説話とはかなり話の内容も変わっている。

ケルトの説話だけあって、アイルランドがかなり悪役で綴られている。映画もその点には忠実でイギリス側が人情味ある人間に描かれ、アイルランド側は冷酷/冷徹な極悪人で描かれる。(『日本書紀』で言えば、イギリスが大和朝廷のような感じ)

今でも「アイルランド紛争」は(今は立場が逆でアイルランド側の独立運動だけれど)あり、その根底にこんな歴史があったのだなあと考えさせられる。アイルランド人が観たら、怒る内容だと思うけれどな。

『グラディエーター』の監督リドリー・スコットが20年間温め続けて創った作品というが、何故今これを映画化するかの意図がちとうさん臭いと思うのは、うがった観方かな?

Toli7 スターキャストで固めず、新鋭俳優を起用したのはいい面もあるけれど、それだけにハデさはなく、テレビドラマを観ている感じにもなったのも正直なところ。でも、こういうラブ・ストーリーは、美男美女が演じるから絵になるんだろうなー。

基が悲劇なのだから、ラストも基の話のように完全悲劇を描いた方が「ロミオとジュリエット」の原典というのだったらよかったと思うのだが。

それに「毒薬」の使い方も…。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*悲哀/ラブ・ストーリーが好きな人 →★★★★

*「ロミオとジュリエット」の原典に興味がある人 →★★★★

*イギリスが好きな人 →★★★☆

*暇つぶし → ★★★

*デート → ★★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

映像は綺麗なので、ぜひ大画面で!

公式HP:  http://movies.foxjapan.com/tristanandisolde/

鑑賞日 2006.10.5(木) ヤマハホール(特別試写会)

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2006年9月28日 (木)

■勝手な映画評(第35回) 『ヘイヴン ~堕ちた楽園~』

■ 勝手な映画評(第35回)   『ヘイヴン ~堕ちた楽園~』  

◎総合評価:    60/ 100

Have4 作品名: 『ヘイヴン ~堕ちた楽園~』(2005年/米・英・独・スペイン / 98分)

監督:フランク・E・フラワーズ

出演: オーランド・ブルーム、ビル・パクストン、他

分野: サスペンス/ヒューマンドラマ

公開予定: 20061014日(土)より

物語

Have5 ビジネスマンのカール・リドリー(ビル・パクストン)は、ある朝、FAXによってFBIの家宅捜査(脱税容疑)の情報を知り、最愛の娘ピッパを連れてタッチの差で100万ドルを持って逃亡する。

行き先は、脱税を手伝った弁護士アレンがいるカリブ海のケイマン諸島。ここは島民から税金を免除する“タックス・ヘイヴン”として有名な島。税金対策のため世界各国から金持ちが集まってきている。

状況を何も知らされず、突然島のホテルに連れてこられたピッパは父に反発。ホテルの従業員の息子の不良リッチーに声をかけられ島で行われているパーティへと出向くが…。

Have12 シャイ(オーランド・ブルーム)は、この島に母と住む青年。雇い主の若い娘(社長玲嬢)と秘密裏に愛し合っている中。彼女の誕生日の夜、初めて結ばれるが、彼女の部屋に侵入したことがバレ、兄に追われる。社長の父は世間体を考えシャイが「不法侵入の上、娘をレイプした」と警察を呼ぶ。

シャイと兄は犬猿の仲。兄は、シャイの顔に硫酸をかけて逮捕、シャイの顔は半分焼け爛れる…。妹は、シャイと引き裂かれたことにより、薬とセックスに溺れた荒れた生活へと堕ちた。

4ケ月後釈放された兄。妹、そしてシャイは別々だが、ピッパが誘われたパーティ会場へと吸い寄せられるように向う。シャイの手中にはピストルが…。

寸評

Have6 途中まで「時間軸」が分からないまま観客はたくさんの情報を与えられることによって、ストーリー展開に混乱させられる。

21グラム』の手法に似ていているけれど、さらにわざと複雑化させている。それは、注目するべき人々が複数に渡り、いったい「誰」を中心の物語なのか掴めないので混乱するのだ。

表現を変えれば、伏線に継ぐ伏線という感じか。

終盤になって、それぞれ展開していた人々が「1点」にパッと組上げられ、ほとんど2日間での出来事を「別々の人」を基軸にしたパーツで時間軸をずらしながら観せられていたことに気づき、そのパズルが一気に一つの「絵」を完成させる。

Have1 ある意味、謎解き快楽を味あわせるための作風なのだろう。振り返って情報を整理すれば、それほど複雑な話ではない。

2度観ると、…うがった観方をすると2度観させるための策略的作風なのかもしれない。

1度目は展開に翻弄され、あれよ、あれよという感じで観終る。だから、あの場面は、こういう背景があって、こういう展開になるということを分かりつつ映像/心理/展開を2度に楽しむ、という作品なのだろう。

人間の欲望をシリアスに見つめた内容とも言える。脚本は、ケイマン諸島在住で、何と3日間で仕上げたものという。撮影は、同島で29日間のロケとのことだ。

Have8 カッコイイ、イケメンのオーランド・ブルームが、醜い顔になる役を演じるわけだが、綺麗な女優が汚れ役をやりたがる心理に近いものがあるのだろうな。ブラッド・ピットなども汚い役やりたがるものなあ。

もちろん、イケメンのトムとジャッキーはその気持ち、よく分かる。な~んちゃって(笑)。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*頭を使って作品を観賞したい人 →★★★★

*オーランド・ブルームファンの人 →★★★☆

*推理小説が好きな人 →★★★☆

*暇つぶし → ★★★

*デート → ★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

DVDだと、時々戻って観たりしちゃいそうだから…。

公式HP:  http://www.haven.jp/

鑑賞日 2006.9.27(水) 109シネマズ川崎(特別試写会)

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2006年9月22日 (金)

■勝手な映画評(第34回) 『イルマーレ』

■ 勝手な映画評(第34回)   『イルマーレ』  ■

◎総合評価: 40 / 100

Re7 作品名: 『イルマーレ』(2006年/ 米国 / 98分)

製作総指揮:メアリー・マクラグレン、他

監督:アレハンドロ・アグレスティ

出演: キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、他

分野: ラブ・ストーリー

公開予定: 2006923日(土)より

物語

Re6 2006年、シカゴの病院の医師であるケイト(サンドラ・ブロック)は、湖畔に立つガラス張りの家から引っ越すことになった。家を出る時、家の前にある郵便ポストへ、次の住人に宛てて置手紙をした。

「新しい住人さん、新居へようこそ。前の住人から一言、ここでの生活を楽しんでね。 追伸/郵便物の転送をお願いします。玄関の犬の足跡は元からありました」と。

Re5 舞台は同じ家の前だが、時は2004年。新しい住人アレック(キアヌ・リーブス)は、置手紙を読んだが、見回しても犬の足跡はなかった。

翌日、迷子の犬がやってきて、ペンキで足跡をつけた。

アレックは、このことをケイトに手紙で知らせる。数回の手紙のやりとりからアレックは、ケイトが2年後の世界にいることに気付く。

2人の時間差を越えた奇妙な文通は続き、そして2人とも恋心が芽生えてくる…。

果たして、2人の愛は時間を超えることができるだろうか?

この先に待っているのは、悲劇?それともパッピーエンド?

それは、観てのお楽しみに…。

寸評

Re11 韓国同名映画『イルマーレ』をハリウッドがリメイクしたもの。

12年前『スピード』で共演したキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックが、本作では時間を超えた精神的な愛を演じる。

監督アレハンドロ・アグレスティは、オランダを基盤に活躍してきたアルゼンチン出身の監督。

私は、大のキアヌ・ファン(特に『マトリックス 1』から)である。彼の俳優としての素質も音楽の感性も、そして何より生き方に。実生活の悲劇(恋人の死)や、難病の妹への愛…。彼にはいろいろな思い込みがある。

個性的なサンドラ・ブロックも好きな女優である。

Re10 しかし、この作品はいただけない。

オリジナルを観ていないので(韓国版は、かなり若い設定。2年の時間差と手紙がキーになる点は同じ)、比較はできないけれど、もう少し、いや少しではない、脚本にかなりの無理があり、難があると思った。

Re12 ありえないことばかりの連続。

それでいて、現実感を持たせようとするから無理がある。

例えば2人は、2年前より以前からの知り合いで、ケイトの誕生日パーティで出逢い(2人とも別々の異性同伴でありながら)、その夜ダンス、キスをしてそれを恋人に目撃される。こんなインパクトのある出逢いを2人とも忘れていて途中まで気付かないことなんて、ありえない! 

ラストシーン、どんでん返しを狙っているのは分かるけれど、あまりにドタバタしていて、それも「えっ、ええっ??」という終わり方。

試写会場で、笑い声が響いた。笑いたい気持ち、分からないでもない。しかし、製作側は、けして「笑い」を狙ったのではなく、純愛の昇華を表現したかったのに、なのである……。

Re4 「『スピード』のカップルが、12年後に再びラブ・ストーリーに挑戦」という、話題だけの作品である。

●お薦め度:(★5つが満点、☆は半星)

*主演のファンの人 →★★★★

*リメイクに興味がある人 →★★★☆

*ツッコミ好きな人 →★★★☆

*暇つぶし → ★★★

*デート → ★★★

● 「劇場」 VS  DVD」 (どちらで観る?のお薦めは…)

      WIN:「劇場」

湖畔の不思議な家は大画面で観た方がいいかも…。

公式HP:  http://wwws.warnerbros.co.jp/thelakehouse/

鑑賞日 2006.9.19(火) よみうりホール

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